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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
第八十一話 戦い、その後
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ビーの再来という異名は君に相応しい渾名だよ」
「情報の価値を正しく理解した、極めて有能な戦術家…ですか」
「君は戦術家に留まる物では無い、と思うけどね。でなければアムリッツァで止まろうなんて思わないだろう。ただ…気にかかる事があるんだ」
 二直員配置に付きます、と報告しながら、パオラ姐さんとフォークが近付いて来た。
「参謀長、私の部屋に行きましょう」
「了解です……カヴァッリ大佐、異状なしだ。二人共、あとはよろしく」
俺達二人は、俺達を訝そうに見つめるパオラ姐さんから逃げる様に、艦橋を後にした。

 艦橋を出て部屋に向かおうとすると、ヤンさんがいきなり立ち止まる。
「君の部屋は避けよう。私の部屋で話そう」
「何故です?」
「エリカちゃん…奥さんには聞かせられない話だ」
なんだなんだ…えらい真剣な顔をしているな。
「分かりました」
ヤンさんの部屋に入ると、ヤンさんはキャビネットからブランデーとグラスを二つ取り出した。
「どうだ、やるかい?」
「いただきます。ダブルで」
お互い何も言わずに乾杯すると、ヤンさんはふう、とため息をついた。
「エリカに聞かせられない話って何です?」
「さっきの続きなんだが、気にかかる事があるんだ」
ヤンさんは空になった二つのグラスにブランデーを注ぎながら言葉を続けた。
「君は、しばらく前線に出ない方がいい」
前線に出るな?何でだ??
「ヒルデスハイム艦隊と一戦交える前だ。君はワイドボーンにミューゼル少将に注視している理由を説明していただろう?あれを聞いていてふと思ったんだ。ミューゼル少将も君を狙っていたんじゃないか、ってね」
「…まさか」
「今は同盟が優勢に戦いを進めている。だとしてもだ、帝国領内をたとえ小規模でも同盟の艦隊がうろついているのは帝国軍にとっては面白くないだろう。でも、面白くなかったとしても彼等だって闇雲な戦闘は避けたい筈だ。今はイゼルローンやアムリッツァを取り戻す為に艦隊戦力の充実を図っている筈だからね。それを証拠に、最初に遭遇したマッケンゼン艦隊は恒星ヴィーレンシュタインで砲火を交えただけで、後は追撃に終始している」
「ヒルデスハイム艦隊と合流した事で、我々を挟撃出来るチャンスが到来した…と彼等は考えたのではないですか?」
このままいくと深酒になってしまうと思ったのだろう、ヤンさんはグラスからマグカップに替えて、紅茶入りブランデーにシフトした。
「それもあるだろう。でもね、あちらさんは最悪でも我々を帝国領内から追っ払えればいいんだ、だから無理する必要は無い。たとえ我々が単独の半個艦隊だと知ったとしても、我々にはカイタルからの増援がある事を彼等とて想像しない筈がない」
「そうです。だからこそ偽の通信をカイタルに送ったのです。増援の到着までに我々を撃破すれば…と考
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