第八十一話 戦い、その後
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二直からです」
「アッテンボロー艦長、聞いた通りだ。あとはよろしく」
「了解了解……副長、艦内哨戒第三配備、二直とせよ」
「了解です」
…二直は誰だっけ?なんて声が聞こえる……ノイエンドルフの撃沈は確認出来なかった。となるとおそらくラインハルトは死んでいない。結局無駄な戦いをやってしまった、って事だ…。
「閣下、どうかなさいましたか」
「いえね、敵とはいえ、一個人の死を願うのはやりきれない気がしましてね」
「ミューゼル少将の事ですか」
「はい。私は一度見逃した。一度見逃したからこそ、今度は倒そうと思ったのです…エリカもいません、今はウィンチェスターでいいですよ」
ヤンさんはいつもの様に頭をかきながら笑う。これ、ホッとするというか…落ち着くんだよなあ。
「私はね、それほど気にしなくてもいいと思ってるんだけどね。その、ミューゼル少将の事を」
「そうですか?」
「うん。君が彼の事を高く評価しているのは知っているよ。だけど、彼が本当に活躍している所は、我々は誰も見た事がない。何故君は彼の事をそこまで危険視するんだ?何か、知っているのかい?」
「それは…」
どう説明すればいいのだろう。若くして少将、皇帝の寵姫の弟……知っている俺だからこそ分かるのだ。一時停戦後の会見の時、ヤンさんも一度会っているけど、あれだけじゃ何も分からんよなあ。
「君も一緒だったが、私も彼を見た。確かに有能そうな人物、という印象だったけどね」
「あの時、彼は要塞攻略の作戦案を練ったのは私かヤンさんと言っていましたよ。それでは説明になりませんか」
ヤンさんは再び頭を掻いた。
「うーん…それだけではねえ。あの作戦は軍事的には理に叶っているが、異質なんだ」
「異質…ですか」
「うん。乾坤一擲、あまりにも冒険的過ぎる作戦案だ。余程劣勢ではない限り実行しない作戦だと思う…ああ、批判している訳ではないんだよ?ただ、何故今なのか、っていう疑問はあった。それにこれまでの同盟軍の立てた作戦からはかけ離れている。それもあって我々を名指ししたんだろう。一応、私達二人は有名人だからね」
そう言いながらヤンさんは軽くウインクした…俺以外の人間からすれば、ヤンさんのいう通りだろう。あの作戦はそれまでに行われた要塞攻略戦とは全く違うものだ。シトレ親父が要塞攻略戦を計画していたからよかったものの、俺が一からあの作戦を言い出していたら多分実行されなかっただろう。まあ、とんでもない内容なのは思いつきだから仕方ないんだけど…。
「なんだか、帝国の出方を見ながら構想を練っている、というのではなくて、知っている…という印象を受けるんだ。しかも確度の高い帝国の内情をね」
「は、はあ…疑われているのか、褒められているのかよく分かりませんが、ありがとうございます」
「もちろん後者さ。アッシュ
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