第五幕その六
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「よかったらね」
「生まれは何処か」
「自衛隊は日本各地から人が集まるから」
「そうだよね」
「特に幹部になると」
即ち士官にというのです。
「転勤も多いし」
「日本各地を移っていくね」
「海外にもね」
日本だけでなくというのです。
「行くこともあるよ」
「駐在武官や留学でだね」
「そう、そうした職務でね」
「行くことになるね」
「そこはね」
「他の国の軍人さんと同じだね」
「そうだからね」
それ故にというのです。
「あの人もね」
「舞鶴にいても」
「鹿児島の人でもね」
そちらの出身でもというのです。
「別にね」
「不思議じゃないね」
「そうだよ」
まさにというのです。
「自衛隊ではね」
「それじゃあ」
「まずはお聞きする?」
「堀与さんに」
「そうするのね」
「何処となくね」
こうお話してでした。
実際に喫茶店に堀与さんが来ると先生は何処となく尋ねました。
「そういえばご出身を聞いていなかったですね」
「福岡ですが」
「福岡の方ですか」
「はい、それが何か」
「いや、言葉に九州の訛りがあったので」
先生は同じ九州なら有り得るかもと思いつつ応えました。
「若しやと思いまして」
「よく言われます、それも鹿児島のですね」
堀与さんは笑ってこうも言いました。
「そちらの」
「はい、それも薩摩弁の」
「そうですね、言われます」
「そうでしたか」
内心驚きつつです、先生は応えました。
「そう言われますか」
「よく。生まれは福岡ですが」
それでもというのです。
「実際鹿児島に縁がありまして」
「それで、ですね」
「鹿児島昔の方言がです」
「出ますか」
「そうなのです」
「かなり高齢の方の言葉を聞いてでしょうか」
先生は堀与さんに尋ねました、堀与さんも喫茶店の飲みものを注文しましたが飲んでいるのはコーヒーです。
「それで」
「そうなりますね」
否定しない返事でした。
「それは」
「そうですか」
「はい、あとです」
堀与さんはさらにお話しました。
「カレーはいただきましたね」
「美味しかったです」
「では後は」
「後はといいますと」
「ビーフシチューにです」
このお料理にというのです。
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