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渦巻く滄海 紅き空 【上】
四十二 接触
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、階段を上がったナルが大きく口を開く。
「じゃあ、頑張ってってば!!シカマル!テマリ姉ちゃん!」
「おいこら待て」
「よし任せろ」
あろうことかシカマルの対戦相手たるテマリにも声援を送る。
ナルの応援に力強く頷いたテマリを眼の端に捉え、シカマルは(…めんどくせ―)と溜息をついた。
















監視されていたとも知らず、試験会場へ向かうカカシとサスケ。
二人の無事な姿を崖上から見届けていた彼は、すっと人差し指を眼前に掲げた。やがて森奥から甘い香りを散らばめていたソレが優雅に崖上へ舞い上がってくる。人差し指に身を寄せたそれは美しい羽根を閉じると共に、眠気を催す鱗粉を散らすのを止めた。

黒白(こくびゃく)翩翩(へんぺん) 耀従之術(ようしょうのじゅつ)

本来は百合の花弁だった白き蝶が指先にて羽根を休めている。寸前まで本選試合を観戦していた彼は眼下の森を俯瞰していた。後ろから近づく気配に双眸を閉じる。
そのまま蝋燭の火を消すかのように、彼はふっと息を蝶に吹き掛けた。途端、二枚の花弁が風に乗ってひらひらと、両者の間を駆け抜ける。

「高みの見物とは、いいご身分だな」

背後から掛けられた皮肉。こつんと地を叩く杖の音が鳴り響いた。

「貴方ほどではありませんよ」
口元に弧を描く。
崖下の森以上に深い闇を知り尽くしている声の主へ、ナルトは微笑みを返した。



「ダンゾウ殿」


先ほどナルトに眠らされた木ノ葉の暗部養成部門『根』の創設者であり、『忍の闇』の代名詞的存在。薄闇から杖をついて現れた影―――志村ダンゾウと顔を合わせる。


飄々と風が唸る崖上で、少年と老人は対峙した。

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