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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
自由惑星同盟の最も長い3カ月
元帥閣下たちの政争指導
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中将に抑え込むことで地上軍を中心とした軍縮を示唆したのである。
さらに穿てば構成邦軍は地上軍が主流である(例外は植民船団国家のアスターテ連邦と交戦星域の盟主を自認するパランティア連合国だけである)構成邦軍へも軍縮の圧力が高まると予想する者も少なくない。シトレ元帥の後ろ盾は自由党であればなおさらである。
「彼の周りは、所詮は学生運動かぶれでしかない。あくまで“社会的エリートの作法”の範囲で反権威主義を振り回すだけ、良くも悪くも若干ひねるが中道の範囲内になると思っていたが、君はどう思う?ドーソン次長」
軍政のトップに振られたドーソンはものすごく嫌な顔をした。そりゃそうだ。
「そうですな・・‥‥才能のある学者が変人となるのではなく、変人だから才能があると思いこんだような、痛々しい秀才が交じるぐらいだと思っていましたが」
「
嫌悪も関心の一種なんだねえ
(
憎悪を向ける姿は鏡のごとし
)
」
特定自称革命家の将校を思い出したのか、心なしか早口で罵倒する最高軍令機関次席を眺めながらトリューニヒトは頬を流れる汗を拭いた。
「……ゴホン、次席副官に抱えているのが組織工学で修士号だったかをとった英才がいるはずです」
「政治ブレーンの人選か、彼が政界に臨むつもりであればその器量が確かめられるのだろうな」
トリューニヒトはドーソンに退出してよろしい、と合図をするとぼんやりと天井を眺めた。
――いずれにせよ、悲壮にドブをかぶって見せねばならない。
・
・
・
委員長室でのやり取りとほぼ同時刻の頃である。
シドニー・シトレ元帥は軍きってのリベラル派で個人主義・共同体主義双方のハイネセン主義者の中でも常に卓抜した戦術家として名声を博した軍人であった。彼が元帥杖を手にしたのは当然の成り行きだ。それだけではなく、反戦派の穏健層を引き込み、中道派に引き付けることができる唯一の将校だとみられているのならば、尚更に。
一方で主流派軍人や中道派議員たちから勝ち取ったカリスマは宇宙艦隊司令長官時代の功績によるものであり、本部長としての失態、ロボス元帥との対立から衰えつつあるとみられている。
ラザール・ロボス元帥は宇宙艦隊司令長官としてよりも艦隊司令官、副司令長官時代を高く評価されている。特にアルレスハイム会戦における戦闘指揮はいくつかの幸運(帝国軍迂回部隊が哨戒網への伏撃に失敗したなど)もあるが大勝利を収めている。亡命者の血筋を引いていることは、時にハンデともなるが政治カラーを明瞭にする。ラザール・ロボスは、それを活用してきたのは間違いない。だが、第3次ティアマト会戦とアスターテ会戦における失態で指導力に疑問を呈されている。さらに軍内でも情報部がシトレ元帥と組んで大戦果を挙げたことで窮地に立たされているとみられている。
「つまり私は圧倒的な優
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