第3部
第3部 閑話@
王様ゲーム
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「あっ、あたしが王様だ!!」
旅の途中立ち寄ったレストラン兼酒場で、シーラの高らかな声が響く。
夕食を済ませたあと、私たち3人は、店の隣にある小さな劇場に足を運んだナギが帰ってくるのを待つため、なぜか3人で王様ゲームを始めていた。
アッサラームの劇場程ではないと言っていたが、様子見がてら一人で行くことにしたナギ。本人は別に踊り子に興味があって行くわけではないとやたら強調していたが、なんとなく言い訳がましく聞こえたのは私だけではないだろう。
そんなナギの言動に半ば呆れつつも、それほど長い時間いないと言っていたので、彼が帰ってくるまでここで待つことになったのだが、なぜか話の成り行きで王様ゲームをすることになったのだ。
食事が終わったあとお酒を追加注文したシーラの目の前には、大量の酒瓶がテーブルに所狭しと並んでいる。シーラはそのテーブルの僅かな隙間に羊皮紙を小さくちぎって見せると、番号と王様の印を書き、裏向きにして伏せた。
伏せたままの紙を3人でそれぞれ選び、中身を確認したあとこの中で王様が誰かを尋ねたら、シーラが名乗り出たのだ。
ちなみに私が手にしているのは1番。ということはユウリが2番だ。
最初は渋っていたユウリだったが、やはり『王様』という単語に心を動かされたのか、結局参加している。
さて、シーラは一体何を命令するのだろうか?
「えっとねえ、1番が2番のほっぺにチューして!」
『は!?』
シーラのとんでもない発言に、私とユウリは唖然としながら声を上げた。
「ちょ、ちょっと待って!! なんなのその命令!?」
「お前ふざけてんのか? そんなのできるわけ無いだろうが」
二人に責め立てられるが、当のシーラはキョトンとした顔で、
「え? でも本来王様ゲームってこういうもんだよ?」
そう言いながら彼女は、ワインボトルをグラスに注ぎ入れた。
あれ? なんだかいつもより顔が赤い?
「だとしても、こんな公衆の面前でやることじゃないだろ」
「そうだよ! お願いシーラ、命令変えて!」
このまま彼女の命令通り、私の方からユウリのほっぺにチューしてしまったら、後でユウリにどんな毒舌を吐かれるか想像もつかない。私は必死で抗議した。
「え〜? でも、王様の言うことは『絶対』なんだよ?」
「で、でも……」
なぜか『絶対』を強調してくるシーラに負けじと、何か論破できる発言を捻り出そうとするが、なかなか思い浮かばない。すると、
「ふん。そこまで言うならもうこのゲームはお開きだ。俺は先に宿に戻る」
案の定、業を煮やしたユウリがゲーム自体を放棄し、この場から退出しようとする。すると、シーラの目がきらりと一瞬輝いた。
「じゃあユウリちゃん、今日のあたしの酒代払っといてね♪」
「は?」
その言葉に反射的に振り
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