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俺様勇者と武闘家日記
第3部
第3部 閑話@
王様ゲーム
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も、ここでゲームを放棄したら負けとみなされて、いくらかかるかもわからないほどのシーラの酒代を払わなければならない。私は意を決して両腕を真上に上げた。
「えっと、あの、お手柔らかにお願いします」
 実を言うとくすぐられるのは苦手なのだが、お金がなくなるくらいならここは我慢するしかない。
「その割には腕が震えてるぞ」
 駄目だ、無意識に防衛本能が働いてしまう。
「き、気にしないで!! 思い切りやっちゃってよ!!」
 なんて強気な態度で宣言したが、思い切り強がりだった。ユウリもそんな私の態度を見透かしているのか、呆れたように私の二の腕を控えめに触り始めた。てっきり脇の下あたりをくすぐられると思ったが、彼の慈悲の心が働いてくれたらしい。けれどそんな彼の優しさも虚しく、脇だろうが二の腕だろうが私の擽られスイッチは、容赦なくオンになってしまった。
「っ……」
 だめだ、もうこの時点で我慢できない。その上ユウリはあまり触れないよう優しく触ってくるからか、逆効果だった。
「ふふっ、うくっ……、も、もうダメ……、あははははは!!」
 耐えきれなくなった私は、体を捩りながらユウリから離れた。ユウリもこれ以上深追いすることはせず、何とも言えない表情で、笑いが止まらない私を眺めている。
「いやいや、ミオちん弱すぎでしょ〜。それにユウリちゃんも諦めるの早すぎるよ」
「だ、だって……、そういう体質なんだもの」
「なんでわざわざ人の嫌がることを続けなきゃならないんだ」
「ユウリちゃんには言われたくないんだけど★」
 その意見には散々ユウリに髪の毛を引っ張られている私も賛成だ。
 ともかく、私の訴えとユウリの正論に、シーラは納得したのかこれ以上は何も言わなかった。
 このまま続けても、元々運の強いシーラにばかり王様が当たってしまうんじゃ、そう思っていたときだった。
「なんだよお前ら。またナントカゲームってのやってんのか?」
「ナギ!!」
 後ろを振り向けば、いつの間に劇場から帰ってきたのか、ナギが呆れたように立っていた。
「もう、遅いよナギ! 待ちくたびれちゃったよ」
「悪い悪い。ちょうどキリの良いところで帰ろうと思ってさ」
 そう言いながら、私とユウリがシーラの無茶振りに振り回されてるのも知らず悪びれることなく笑うナギに、私は軽い怒りを覚えた。
「よしバカザル。お前もこの茶番に付き合え」
「は?」
 ユウリは目を吊り上げたまま椅子から立ち上がると、ナギの首根っこを掴み強引に空いている椅子に座らせた。
「今度はこいつも参加させるぞ」
「おー♪ いいねぇ☆ やろやろ!!」
 ユウリの提案に、シーラは乗り気のようだ。それにしても急にナギを誘うだなんて、何か考えでもあるのだろうか?
「ねえユウリ。急にナギを王様ゲームに参加させるなんて、
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