第3部
第3部 閑話@
王様ゲーム
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向くユウリ。その顔は不機嫌極まりない形相であった。
「ゲームを放棄した、つまり自分で負けを認めたってことだよね。だから負けた人には、王様の酒代を払わなきゃならないんだよ」
「なんだその理屈は!!」
激高するユウリをよそに、シーラはカウンターにいる店員さんを呼んだ。
「すいませーん!! ウイスキーをボトルで5本くださーい!!」
「シーラ!?」
私とユウリの顔が一気に青ざめる。よく見れば、いつもよりテーブルの上に大量の酒瓶がひしめき合っている。一体酒代だけでいくらかかるのだろう。
いや、待てよ……? もしかしたら……。
「お前、なんてことを……」
まるで親の仇にでも出会ったかのように愕然としているユウリに、そんな抗議などどこ吹く風のシーラ。彼女の分の酒代は、大体ユウリが代わりに支払うことが多い。そんなシーラの酒代をパーティーのリーダーであるユウリは渋々支払っていたが、今回に限ってはあまりにも理不尽すぎる。
まずい、ユウリの目が今にも呪文で店を消し飛ばさんとする勢いで血走っている。これはなんとしても彼女自身に酒代を払ってもらわなければ。
「わかった! ならゲームは続行するよ」
「!?」
何を血迷ったのか、と言わんばかりに私を見返すユウリ。けれど私には、ある一つの考えがあった。
「おっけー! じゃあ、1番が2番のほっぺにチューだかんね☆」
私は戸惑うユウリのそばまで椅子を近づけ、体を接近させた。よし、この角度ならシーラに直接見られることはないはずだ。
「お前、なんで……!?」
私の行動に引き気味のユウリを無視し、私は彼の腕を掴んだ。
うう、恥ずかしいけど、我慢我慢……!
「わあ♪ ミオちんったら、だいたーん!」
色めき立つシーラを無視し、私はぐいとユウリの腕を引き寄せる。と同時に自分の顔をユウリの横顔に思い切り近づけた。傍から見れば私がユウリのほっぺにチューしていると見られてもおかしくはない。
けれど実際は頬に当たらないギリギリの場所でピタリと止めると、私はユウリに向かって小声で囁いた。
「ユウリ、とりあえずここはシーラの指示通りにして、私かユウリが王様になったら、シーラに酒代払わせよう」
「!!」
ようやく私の意図に気づいたのか、視線で頷くユウリ。その仕草も、第三者には殆ど気づかれないくらいごく自然であった。
「あれ、もう終わり? ちゅーしたの?」
「うん、したした! だから次行こう、次!!」
本当はしてないのだが、半ば強引に話を切り上げる。幸いにも赤ら顔のシーラの目には、私達のやり取りははっきりとは見えなかったようだ。
私が席に戻るのを見計らい、再びシーラはバラバラにしたくじをテーブルに伏せる。そして二回目のゲームが始まった。
『王様だーれだ?』
めくってみると、今度は2番
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