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色々と間違ってる異世界サムライ
第20話:決まらぬ行き先……
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けと断ったんだが、住人の熱意がすごくて受け入れるしかなかった。
「本当はこんな事をしにこの町に来たわけではござらぬが……」
「私もです。魔王軍の幹部であるデルベンブロを倒した事で、モンスター達がこの町を敬遠する様になったそうです。モンスターがいないから採取クエストなんて人に頼む必要もない」
「つまり、この町に戦は無いと?」
「少なくとも、貴女方がこの町にいる内は……いや、それは違いますね」
「と言うと?」
「貴女方サムライがデルベンブロを倒した噂が流れれば、貴女方を倒して空席となった魔王軍幹部の座に座ると言う考えも―――」
「つまり成り代わり」
「!?」
「魔王に成りたい者にとって邪魔な現魔王を排除出来、同時に己の強さを周囲に証明出来る。いっとう単純で明快な手です」
魔王軍幹部に空席が出来たと言った途端のその返し……このツキツバ・ギンコとやら、意外と侮れないかもしれません。
「……他の者が魔王を斃して魔王に成り代わる……ツキツバはその前例を見たとでも?」
「……別に」
ツキツバ……貴女今、凄い汗ですよ?
ま、爆裂魔法が好きなだけ使えるのであれば、私は構いませんが。

月鍔ギンコperspective

めぐみん殿と共に街を散策しながらこの先の事を考えておりましたが、
「問題はセツナ殿がセイン殿を極端に嫌う事ですな」
「で、ツキツバはセインの事をどう思ってるんだ?」
そんな事を言われましても、某はノノ殿やセツナ殿の話を聞いただけなので……どう答えたら良いものか……
「つまり、何も解らないと?」
「……すまぬ。某はセイン殿の顔すら見た事が無い」
「私もです。せめて何か噂が有れば……」
その時、めぐみん殿が何か閃いた様です。
「我が名はめぐみん!サムライの一員にして爆裂魔法を極めしアークウィザード!そして!勇者セインと白ノ牙(ホワイトファング)を求めし者!」
……前言撤回です……
めぐみん殿は大変目立ちたがり屋さんの様です。
しかも、
「セインが勇者?貴女様方じゃなくて?」
「そう言えば、他の冒険者ギルドで乱闘騒ぎした冒険者グループがいたなぁ……名前は忘れちまったけど」
「うーん……思い出そうとすれば思い出そうとする程、アンタらサムライの活躍しか思い浮かばないんだけど」
「この街の近くに聖武具の神殿が在るから、そこで待ち伏せしてたら?」
「その神殿は他にも在るから、ここに的を絞るとは限らないだろ」
「あ、そうか」
どうやら、めぐみん殿の目立ちたがり屋な性格は、セイン殿の事を知る事になんの役にも立たなかった様です……
「戻りましょうめぐみん殿。どうやら、この街の者達はセイン殿や白ノ牙(ホワイトファング)の事を知らない様ですし」
某がそう言うと、街の皆さんが申し訳なさそうに謝罪しました。

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