第92話 霧に潜む悪意
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「ねえ、今鈴の音が聞こえなかった?」
「俺も聞こえたよ。昔カルバートでフィーに鈴のお守りを買ってあげた事があるんだ」
「へえ、そうなんだ」
「ただ何故か鈴に紐を通して首に付けようとしたから止めたんだよな」
「あはは、それやったら本当に猫ちゃんになっちゃうわね」
俺は鈴の音を聞いて昔の思い出を語りエステルが笑っていた。
「……今の鈴の音」
「あれ、どうしたんだいシェラ君?」
「……いえ何でもないわ」
一瞬シェラザードさんが何かを考えこむ様子を見せた。それに気が付いたオリビエさんが声をかけるが彼女は何でもないと返す。
気に放ったが今は怪我人の方が優先すべきなので急いで教会にフランツさんを運んだ。そしてデバイン教区長に任せて俺達はギルドに戻って報告をする。
「捜索魔法?そんなことが出来んのか?」
「だからセリーヌちゃんに伝言を任せたんですね」
「でもそれなら集まっていた時に話せばよかったんじゃないか?」
アガットさんが頭を掻きながらそう言いティータはセリーヌをよこした理由を話していた。だがジンさんの言う通り皆が集まっていた時に話せば手間はかからなかったんじゃないのか?
「申し訳ありません、本来は特殊な野草がないと使えない魔法なんですが偶然ロレントで同じ野草を見つけたんです。『月光草』というんですけどコレです」
「あっ、ロレントに生えてる三日月みたいな草ね」
「はい、故郷の森に良く生えているんですがリベールでも見つけられるとは思いませんでした。
エマの見せてくれた草は三日月のような形をしたものだった、それを見たエステルは自分もよく見ると答える。
「つまり偶然その月光草を見つけたから捜索の魔法を使おうと思ったのですね」
「はい、そのほうが早いと思いましたので皆さんに手掛かりを見つけてもらうべくセリーヌにお願いしたんです」
「お蔭でひどい目に合ったわよ……」
クローゼさんの問いにエマはニコっと笑みを浮かべて頷いた。その隅でセリーヌがふてくされた様子でそう呟く。
「だが私達はこれと言った情報は得られなかったな」
「俺達もそこまでこれといったものは見つけられなかったぞ」
ラウラとジンさんは特に手掛かりとなる物は見つけられなかったと話す。
「俺はパーゼル農園をこれを見つけたぞ」
「これは果物ですか?」
「ああ、歯型が付いている。農園に落ちていたんだ」
「歯形……唾液が付いてるって事ですね」
「そういうことだな」
クローゼさんに説明をすると彼女は納得した様子を見せた。
「エマ、これは使えそうか?」
「はい、唾液なら十分な情報になりそうです」
エマは俺から果物を受け取る
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