第92話 霧に潜む悪意
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ね」
「セリーヌ、どうしたんだ?」
「エマから伝言を預かったからあんた達に教えに来たのよ。まったく……私は伝書鳩じゃないのよ」
「なんだかんだ言ってセリーヌも協力してくれるんだな」
「早く帰りたいだけよ」
俺はティオ達にバレない様にセリーヌと会話をする。
「それで伝言ってなんだ?」
「もし何か犯人に繋がる物があったら持って帰ってきてほしいそうよ。探索用の魔術で捜索するんでしょうね」
「そんなことが出来るのか?」
「準備に時間がかかるけどエマの捜索魔法は中々のモノよ。でもそれをするには探し物の一部が必要になるの」
「ああ、だから犯人に繋がる物が欲しいのか。分かった」
俺はエマの凄さを改めて認識しながら分かったと返事をする。
「じゃあ私はエマの所に帰るから……」
「あー、猫ちゃんだ!」
「にゃあっ!?」
いきなりセリーヌを背後から抱き上げる女の子、確か農園の子だったな。
「ねえねえお兄ちゃん!猫ちゃんと遊んでもいい?」
(ちょ、ちょっと!助けなさいよ!)
女の子がそう聞いてくるがセリーヌが俺を睨んできた。多分助けろって言ってるのかもしれないな。
「ああいいよ、沢山遊んであげて」
「やったー!」
(あんた!私を見捨てる気なの!?)
「子供達も不安がってるからな、遊んであげてくれ」
「猫ちゃん、こっちでお人形遊びしよー!」
「にゃああああっ!」
セリーヌは女の子に持ち去られてしまった。
「取り合えず何かないか探すか……」
俺は犯人に繋がる物がないか探していく、すると地面に落ちていた果物の一つに齧った跡があるモノを見つけた。
「これは歯型……犯人が味見していったのか?だとしたら唾液が付着してるはず……これ使えるかな?まあいいや、持って帰ってみよう」
俺は農園の人たちに許可を貰い果物をしまう。そしてそれ以上情報を得られなかったのでフランツさんをおんぶして街に戻った。
因みに外は危険なので農園の人たちも全員ロレントに避難してもらった。今はホテルの一室を借りてそこで過ごしてもらっている。
大事な農園をほったらかしにするのは辛いだろうがまた襲われるかもしれないからね、フランツさんの事は俺達に任せてもらいホテルを出た。
「ふう、もう夕暮れ時ね。この濃霧じゃ太陽なんて出てるのかどうかも分からないけど」
「確かにね」
時計塔の針を見て時間を把握したエステルは太陽が見えないと言い俺も同意する、ただでさえ濃霧で視界が悪いのに夜になったらもうまともには動けなくなる。これ以上街の外に出るのは危険だな。
その時だった、耳に鈴が鳴る音が聞こえたんだ。
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