第92話 霧に潜む悪意
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テルが少女に駆け寄った。
「エステル君やシェラ君の知り合いかな?」
「確かロレントの農園にいるエステルの友達ですね。前にそんな話をしていたのを聞いた覚えがあります」
オリビエさんがそう聞いてきたので俺は記憶の中から情報を引っ張って彼に話す。昔まだエステル達が駆け出しの遊撃士だった時に依頼を受けた際に話に出ていたな。
「ティオ、貴方どうしてこんな時に外に出たの?危ないって分かってたでしょ」
「ごめんね、エステル。でもどうしてもギルドに向かわないといけなかったの。農園が何者かに荒らされちゃったから……」
「あんですって!?」
農園を荒らされたという言葉にエステルは過敏に反応する。それってまさか例の窃盗犯か?
「もしかしてまた魔獣に?」
「ううん、今回は違うと思う。だってお父さんが気絶させられてたから……」
「どういうこと?」
エステルは前に魔獣の被害にあっていた農園の件に関わったので今回もそうなのかと尋ねた。
だがティオという少女は今回は違うと答えた、そしてその根拠に父親が気絶させられていたと話してエステルが詳しく話してほしいと言う。
彼女の話では父親が昼頃に畑の様子を見に行ったまま帰ってこなかったようで、心配になった家族は畑に向かうと父親が畑に倒れているのを発見したらしい。
そして果物や野菜を奪われていたのも発見したそうだ。もし魔獣ならその父親は殺されていたはずだ、態々気絶させたので人間のやった犯行の可能性があるな。
ティオもそう思ったから魔獣じゃないと話したのだろう。
「そんな……なんて酷いことを!」
「お父さんは頭に怪我をしたけど幸い命の別状はなかったわ。ただ後遺症が怖かったから教会に薬を貰いに行ってギルドに報告しようと思ったんだけど予想以上に濃霧が濃くて……」
「迷った際に魔獣に襲われたって事か。間に合って良かったよ」
エステルは怒りで顔を真っ赤にしていた。そして彼女が魔獣に襲われた理由を知った俺は助けるのが間に合って良かったと呟いた。
「えっと、一瞬ヨシュアかと思ったけど貴方は確か前にロレントで保護されてた子よね?話には聞いてたけど会うのは初めてだよね」
「始めまして、リートと言います。こうして会うのは初めてでしたね」
「僕はオリビエ、この出会いに感謝を。どうだい、出会えた記念に一曲でも披露……」
「はいはい、貴方は引っ込んでてください」
「あふん」
自己紹介をしてたらオリビエさんが割り込んできたので前蹴りをして押しのけた。
「あはは……個性的な人達だね」
「いつものことよ。それよりもティオ、農園に行くから貴方も行きましょう。おじさんも心配だし何か犯人の情報を得ら
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