敢闘編
第八十話 誤算
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ようとも、敵中央…旗艦さえ撃破すれば我々の勝ちだ。
「敵中央部、更に後退します!」
…何だと?それでは貴様の艦隊の両翼は完全に孤立するぞ…ウィンチェスターめ、何を考えている?
「そのまま前進だ…キルヒアイス、味方の損害はどれくらいだ?」
「やはり艦隊後衛の被害が大きくなっています。およそ三割が被害を受けています。その内二割は完全に失いました」
二割の損失…だが…。
「マッケンゼン艦隊より通信。『コレヨリ戦線参加スル』…です!」
よし、これで……スクリーン上の概略図には入り乱れた敵味方が映し出されている……だが何かがおかしい。
「こ、これは…後背の敵が反転しました。そのままマッケンゼン艦隊に向かっていきます!」
…そうか、そうだったのか。敵の両翼は俺達の後ろを取るのが目的ではなく、マッケンゼン艦隊の足止めをする為のものだったのか……。
09:30
自由惑星同盟軍、第十三艦隊、ワイドボーン分艦隊(臨時編成)旗艦オライオン、
マルコム・ワイドボーン
こんな戦術行動…非常識にも程がある…ヒルデスハイム艦隊の後背に回り込んで、その後衛を攻撃する…ウチの艦隊は六千隻ちょっとしかいないんだぞ!
『心配いりません、ヒルデスハイム艦隊が狙っているのは我々の中央です。お二人の事など気にもかけないでしょう。安心して回り込めますよ』
10:05
…確かに俺やダグラスには目もくれなかった。だけどな、無傷のマッケンゼン艦隊が控えているんだ、俺達は孤立してしまう…!
『心配ありません。その頃にはヒルデスハイム艦隊は後ろを気にする余裕はなくなっている筈です。中央部を目指しつつ反転して反撃…など出来ないのですから。彼等を気にせず反転して、マッケンゼン艦隊の足止めに向かって下さい。アッテンボロー分艦隊と合わせて四千隻、足止めには充分な兵力だと思います』
10:40
…確かに、ヒルデスハイム艦隊には俺達二人を気にかける余裕はない様だ…だけどな、一万隻以上のマッケンゼン艦隊を四千隻で足止めしろって言うのか!?自殺行為だぞ……
『何故兵力の多いマッケンゼン艦隊が前衛ではないのでしょう?我々を追撃している時、彼等はやたらと慎重だった。そして我々の追撃中に何らかの理由で足が止まり、いつの間にか兵力の少ないヒルデスハイム艦隊が前衛になっている…ここから導き出される答えは一つ…マッケンゼン艦隊は練度不十分なのです。何故そんな艦隊が前線近くにいるのかは分かりませんが…一時間ほどで構わないんです。お二人なら難なく足止めする事が出来ますよ』
お二人なら難なく、ね……ここまで来たら司令官を信用するしかない…。
「ダグラス分艦隊に連絡。我々は反転後マッケンゼン艦隊右翼を攻撃する。貴官には左翼の攻撃を任せる…以上
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