敢闘編
第八十話 誤算
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ェランカという星で。ロイエンタールも一緒でした。白兵戦に駆り出されたのですよ」
「懐かしいな。あの時は死を覚悟したものです」
「私とキルヒアイス中佐もカプチェランカには派遣された事がある、奇遇だな。だが…敵が自分の事を知っている、という経験はあるまい?」
二人共、不可解そうな顔をしている。
「奴は、ウィンチェスターは、臨検指揮官として乗り込んで来た。そして私とキルヒアイスを指名した。武装解除と情報提供の為の協力者として。ただ名指しされたのであれば不審には思わなかった。だが奴の態度には私とキルヒアイスの事を知っていると思わせる節があった。奴とは短い会話しかしていないが、私達の事をどこまで、何を知っているのか恐ろしくなった…」
キルヒアイスは瞑目し、二人は黙ったまま聞いている。
「二度目はイゼルローンで、だ。この艦隊に配属されたあと、艦隊はイゼルローン要塞に増援として派遣された。そして卿等も知っての通り戦いには敗れ、要塞は奪われてしまった。撤退の為に停戦を申し入れたのだがその際、敵の司令官と会見する事になった。ウィンチェスターもその場に居た。当然だ、叛乱軍の宇宙艦隊司令部の作戦参謀として、奴が要塞攻略を立案したのだからな」
「当然、ウィンチェスターと再会する事になったのですね」
「そうだ…そして口論となった…奴は私の前に必ず現れ、その都度苦杯を舐めさせる。そしてまた奴は現れた。因縁なのだろうな」
俺が喋るのを止めると、三人が同時に大きく息を吐いた。再び口を開こうとすると、背後で大きく手が鳴らされた。
「二度ある事は三度ある、三度目の正直…因縁には決着が必要だ。卿等もやらんか」
ヒルデスハイム伯の言に後ろを振り向くと、従卒がワインボトルとグラスを五つ用意しているのが見てとれた。
「縁というのはな、どこかで決着をつけねば一生ついて回る物よ。それが悪縁なら尚更だ。卿等の進言を容れてここまで来たのだ、さあ、さっさとウィンチェスターとやらを退治して、元の任務に戻ろうではないか……乾杯!」
4月18日06:45
自由惑星同盟軍、第十三艦隊旗艦グラディウス、
ヤマト・ウィンチェスター
「ヒルデスハイム艦隊、まもなく有効射程距離に入ります!」
さあ、本番だ……司令官はラインハルトじゃない、ヒルデスハイムのおっさんだ。やれる、やれるよな…。
「撃て」
俺達は薄く広がった横陣形のまま微速で後退している。その方が敵の突出を誘えると思ったからだ。案の定、ヒルデスハイム艦隊は急速に距離を詰めて来る。
「あざとい…ですかね、参謀長」
「いえ…大丈夫じゃないでしょうか。耐えればいい我々と違って、ヒルデスハイム艦隊には時間敵制約があります。一気に乱戦に持ち込んで、マッケンゼン艦隊と呼応して我々を撃破しようとする
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