第五十九話 荒野の宗教その二
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「キリスト教徒のわしから見てもな」
「それ言うとわいもやけどな」
トウェインもキリスト教徒として応えた。
「イエスさんは元々ユダヤの生まれでな」
「ユダヤ教からキリスト教が出たけどな」
「しかしな」
「ユダヤ教は厳し過ぎるな」
「聖書でも」
それを読んでもというのだ。
「旧約と新約やとな」
「何かちゃうねんな」
「旧約は厳し過ぎるわ」
「ほんまな」
メルヴィルもそれはと答えた、ユダヤ教とキリスト教の違いは実は結構以上に大きなものがあるのだ。
「ちょっとしたことでな」
「神罰やからな」
「そしてその神罰の内容がな」
「めっちゃえげつないわ」
「ほんまな」
「そもそも何でもかんでも禁止で」
「あれするなこれするなで」
ユダヤ教はというのだ。
「妥協もなくて」
「まさにゼロかオールかって感じで」
「厳しいな」
「何よりもな」
「その厳しさは何処から来るか」
メルヴィルはあらためて言った。
「それはな」
「過酷な環境やからやな」
「神様もな」
ユダヤ教の神、唯一神であるその神もというのだ。
「微塵もな」
「容赦してへんな」
「まして紀元前や」
ユダヤ教が生まれた時代はだ。
「生産力かてな」
「低いな」
「そこで荒野におったんや」
「余裕なんてないな」
「もうちょっとしたことでな」
それが甘えであったり油断であったりするがだ。
「一人だけやなくて」
「全体に迷惑が及ぶな」
「それでな」
その為にというのだ。
「あれするなこれするな」
「そして厳しい神罰が用意されてる」
「ちょっとした過ちに対してもな」
「そういうことやな」
「ユダヤ教は」
「まあこんなとこにおったらな」
荒野の階の中でだ、施は言った。
「そうした教えにもなるか」
「一切の妥協のないやな」
「そんな風にな」
こうトウェインに話した。
「それも紀元前になると」
「ちょっとしたことで全体が破滅するから」
「そや、ちょっと言ったメソポタミアやとな」
ヘブライの地からというのだ。
「大河があって」
「チグリス=ユーフラテス川やな」
「その恵みがあるけどな」
「文明を築く位のな」
「しかしや」
それでもというのだ。
「ヘブライにはそんな大河も肥沃な大地もや」
「なかったな」
「ほんま過酷極まりない、しかも敵もな」
「多かったな」
「あそこは多くの民族が興亡してたやろ」
メソポタミアの地はというのだ。
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