第五十九話 荒野の宗教その一
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第五十九話 荒野の宗教
周りに何もない荒野の階を進んでだった、トウェインは苦い顔で言った。
「何もないイコール迷うやからな」
「目印がないとな」
中里も頷いてそれはと返した。
「ほんまな」
「迷うな」
「自分が今何処におるかわからんでな」
「そうなってな、それでこの荒野ってな」
草木のない岩と乾いた土だけのその中で言うのだった。
「ヘブライの地やねんな」
「今で言うイスラエルやな」
「そやな、ユダヤ教の世界やな」
「今度の神霊さん天使さんやしな」
「そうやな、こんなとこで住めと言われたら」
トウェインは実に嫌そうに述べた。
「わい嫌や」
「絶対にやな」
「こんなとこで住んだら」
そうすればというのだ。
「めっちゃ不便やろ」
「食べものも飲みものもまともにないな」
「極限生活になるわ」
それこそというのだ。
「アメリカや日本におる時と違ってな」
「それでやな」
「絶対にや」
こう中里に言うのだった。
「暮らしたくないわ」
「そやな」
「こんなところにおったら」
羅はしみじみとした口調で言った。
「ほんま切り詰めた生活になるな」
「そうなるな」
「モンゴルもそうやが」
この高原での生活もというのだ。
「無駄なもんは一切ない」
「シンプルなもんやな」
「そうやけどな」
「ここはもっとやな」
「草すらないからな」
モンゴルにあるそれがというのだ。
「草原と荒野でや」
「またちゃうな」
「全くな、草があれば羊や馬が草を食って」
そうしてというのだ。
「生きられるからな」
「それでやな」
「馬の乳を飲んで乳製品を作って」
事実モンゴルではそうして暮らしている、馬乳から酒を造りそのうえで飲むこともしているがこのことはこの世界でも同じである。
「羊の肉を食ってな」
「生きてるな」
「それで羊の皮とかも使って」
そうもしてというのだ。
「暮らしてるわ」
「モンゴルはそやな」
「そや、しかしな」
それがというのだ。
「草すらないとな」
「その馬も羊もやな」
「中々な」
「生きられへんな」
「そやからな」
だからだというのだ。
「モンゴルよりもな」
「過酷やな」
「そんなとこやからな」
ヘブライの地はというのだ。
「教えもな」
「過酷になるか」
「そやろ」
「まあな」
今度はメルヴィルが言ってきた。
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