第百十九話 他の国から見ればその九
[8]前話 [2]次話
「どうしても不利だしね」
「差別されることもあるしね」
「日本でもそれはでしょ」
「日本語喋られないと」
それはとだ、一華も否定しなかった。
「何かと不便よ」
「そうでしょ、これは差別の一面があっても」
「仕方ないっていうのね」
「私だって日本語喋られて書けるから」
だからだというのだ。
「日本でやっていけてるし」
「それでなのね」
「もうその国の言葉が使えないと」
さもないと、というのだ。
「どうにもならないわ」
「現実問題として」
「まあ日本語難しいけれどね」
「バスク語よりも?」
「だって文法違うし」
多くの国の言語と、というのだ。
「文字も三種類あるし読み方も色々あるし」
「音読み、訓読み、訓読読みね」
「こんな難しい言葉ないわよ」
「そうなのね」
「日本にいるから」
そして暮らせているからだというのだ。
「話して書けるけれど」
「そうでなかったら」
「とてもね」
それこそというのだ。
「無理だったわ」
「それ外国の子皆言うわね」
「だって実際滅茶苦茶難しいから」
日本以外の国からしてみればというのだ。
「何でこんな風になったか」
「不思議よね」
「ええ、とんでもない言語よ」
日本語はというのだ。
「人間の言語じゃないわ」
「悪魔の言語っていうのよね」
「難し過ぎてね」
「台湾の総統さんで日本語堪能で」
李登輝という人物である、親日家として知られていた。
「日本語で考えていたらしいけれど」
「その人日本生まれ?」
「日本時代の台湾生まれよ」
その頃日本は台湾のインフラを充実させ教育にも力を入れていた、台湾の発展の基礎は日本の統治にあったと言われている。
「その人は」
「だったら当然よ、日本語の中にいたのよね」
「二十年以上ね」
生まれてからだ、日本の大学に進学し日本軍の士官だったこともあるし剣道に親しんでもいたのだ。
「そうだったの」
「じゃあ当然よ」
「日本語得意で」
「それでね」
「そうなるわね、確かに」
一華も否定しなかった。
「生まれてから二十年以上だとね」
「ずっと日本語だったから」
「周りがね」
「日本語を読み書き出来て」
「考える時も」
頭の中でというのだ。
「その時もね」
「日本語使うのね」
「そうなるのよ、そういえばあんた今は」
一華はスペインの娘に尋ねた。
「頭の中何語で考えてるの?」
「スペイン語よ」
スペインの娘は一華にすぐに答えた。
「今はね」
「そうなのね」
「スペイン語で考えて」
そうしてというのだ。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ