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スポーツの神
第一章

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                スポーツの神
 この時戦いの神テスカトリポカジャガーの姿をしていて左の後ろ足が四角い曇った鏡になっている彼が言った。
「さて、我等の信仰がだ」
「復活したな」
 緑色の身体で白い一対の翼を持つ蛇の神ケツアルコアトルが応えた。
「有り難いことに」
「キリストの教えはまだあるが」
 テスカトリポカはそれでもと言った。
「しかしな」
「また我々を信仰する人間が出て来た」
「ギリシアや北欧、エジプトやメソポタミアの神々もな」
「もっと言えばスラブやケルトもな」
「人は宇宙に出てだ」
 地球という星を出てというのだ。
「そうなってだ」
「信仰心も篤くなってな」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「我々もだ」
「また信仰されてだ」
「神殿も建てられているな」
「有り難いことだ」
 テスカトリポカはそれはいいとした。
「やはりな」
「神は信仰されないとな」
「しっくりこない、しかしだ」
 それでもというのだった。
「お主はいいだろうが」
「司るものか」
「学問や商業の神になっているな」
「今の私はな」
「わしは戦いの神だが」
 それでもというのだ。
「今はな」
「我等を信仰する者達はな」
「戦いがない、それでだ」
「スポーツの神になっているな」
「わし等が前に信仰されていた時はだ」
 テスカトリポカはジャガーの貌をどうにもというものにさせてそのうえでさらに言ったのであった。
「戦いは常でな」
「それで得た捕虜を生贄に捧げていたな」
「人間達はな、しかしだ」
「今我等を信仰している者達は戦わない」
「それでスポーツだが」
 今度はこちらの話をした。
「あの頃のスポーツと言えば」
「今とは全く違っていてな」
「より激しく荒くな」
「やはり生贄の要素もな」
「あった、だが今はだ」
 どうにもとケツアルコアトルに話した。
「サッカーだのバスケだのバレーだの」
「野球だのな」
「水泳や陸上競技もしてな」
「お洒落なフェシングもあるな」
 ケツアルコアトルはこの競技の名前も出した。
「格闘技もな」
「ボクシングや柔道がな」
「グレーシー柔術もある」
「わしは特にルチャ=リブレが好きだ」
 この格闘技がというのだ。
「よく観ているが」
「それでもだな」
「わしは戦いの神であってな」 
 あくまでというのだ。
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