第二章
[8]前話
樹から水が出るのが終わった時樹の下は海の様になっていた、カメレオンの夫婦は樹の枝の上からその状況を見て話した。
「若し枝にいないとな」
「私達はどうなっていたか」
「わかったものじゃないな」
「本当に。ただ出るのも速かったけれど」
それでもとだ、妻は夫にその水を見つつ話した。
「引くのもね」
「速いな」
「川や海や湖にね」
そういった場所にというのだ。
「流れていっているわね」
「そうだな、それじゃあな」
「すぐになくなるわね」
「この水はな」
夫婦でその水を見ながら話した、そして実際にだった。
水はすぐに引いた、夫婦はこれで終わりかと思うと水がなくなった後にだ。
男女の二本の足で立った毛のない黒く輝く肌の男と女がいた、夫婦はその彼等を見てその前まで来て尋ねた。
「あんた達は何者だ?」
「樹から出たお水が引いたらいたけれど」
「私達は人間だよ」
「樹から神々がこの世界に出してくれたのよ」
彼等は夫婦にこう話した。
「これから増えて世界で色々なことをしていくけれど」
「そのはじまりだったんだよ」
「へえ、そうなのか」
「何で木からお水の音が聞こえるかと思ったら」
カメレオンの夫婦は人間達の話を聞いてその丸い目をくるくると動かしつつ応えた。
「そんなことだったか」
「これはまた驚いたわね」
「ああ、神々のお考えか」
「私達はそのお手伝いをしたのね」
「そうだよ、このことは忘れないから」
「これからも宜しくね」
人間の男女はカメレオンの夫婦に笑顔で礼を述べた、そして彼等も夫婦となって人間のはじまりとなった。
これがムブディ=ピグミー族に伝わる人間のはじまりある、全ては樹の中の水からはじまった。このことを見ると樹木と水が如何に大事なものかわかるであろうか。
カメレオンと洪水 完
2023・11・15
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