第一章
[2]次話
オロクンの服
ナイジェリアのヨルバ族に伝わる話である。
ヨルバ族はこの世界は瓢箪の中に入っているという、瓢箪の中には半分位水が入っているがこれが海である。海は海神オロクンが治めている。
オロクンはとても大きく堂々とした顔と体格を持った神であった、その顔はいつも自信に満ちていてふんぞり返ってさえいる。着ている服は青である。
常に多くの人間や海の生きもの達を従え見事な宮殿に君臨していた、この世の半分を占める海を治める彼は確かに兄弟だった。
だからだ、彼はこの世界を生みだした創造神よりも強いとさえ思っていた。彼は常に周りに言っていた。
「創造神よりもだ」
「オロクン様は力がおありですね」
「そうなのですね」
「そうだ、余はこの世が生まれた時には既にあった」
こう言うのだった。
「創造神と共にな」
「そしてですね」
「そこから世界が出来ていきましたね」
「そうでしたね」
「そうだ、そしてだ」
そのうえでというのだ。
「余はこの世界の半分を占める海を治めているのだ」
「だからですね」
「オロクン様は創造神よりお強い」
「そうお考えですね」
「この宮殿もだ」
海にある巨大で壮麗な珊瑚や貝殻そして多くの宝石や金銀で飾られたその宮殿の中で言うのだった。
「この通りだ」
「見事なものですね」
「これ以上の宮殿はないですね」
「創造神の宮殿も見事だが」
それでもというのだ。
「やはりな」
「それでもですね」
「この宮殿には及ばないですね」
「とても」
「そうだ、だから勝負を挑み」
創造神にというのだ。
「勝てばな」
「オロクン様の方がですね」
「上だということを証明しますね」
「そうしますね」
「そうだ、ただ戦はしない」
オロクンはそれはしないとした。
「この世を生みだした神とこの世の半分を治める神が戦えばな」
「世界は壊れますね」
「そうなりますね」
「そうなれば」
「だからだ」
そうなってしまうからだというのだ。
「それはしない」
「ではどうされますか」
「どうして勝負されますか」
「一体」
「それぞれの持っている服の美しさを競ってだ」
そうしてというのだ。
「勝負をしよう、ではな」
「そのことをですね」
「創造神に申し出られますね」
「そうされますね」
「そうする」
こう言ってだった。
オロクンは創造神に対して使者を送り勝負を申し出た、すると。
老人の姿で眩い金と銀に輝く服を着た彼はこう言った。
[2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ