第一章
[2]次話
イシュタルの知恵
この時愛と豊穣の女神イシュタルは自身の街ウルクについてこう考えていた。
「よりよい街にしたいわね」
「このウルクをですか」
「そうされたいですか」
「ええ」
周りにいる従神達に答えた。
「是非ね」
「ではそのお力を注ぎ込みましょう」
「イシュタル様のそれをこのウルクに」
「そうしましょう」
「そうしていくわ、けれど」
それでもとだ、イシュタルは言うのだった。笑うがその笑みは妖艶なもので豊満な胸と尻は薄い生地の衣から溢れ出そうで腰は括れていて脚は艶めかしく薄褐色の肌は光沢がある。黒く波だった神は長く紅の唇は妖しく笑っていて鼻は高く切れ長の贈二重の目の睫毛は長く眉は細く長い。左目の付け根には黒子がある。
「それだけではね」
「足りない」
「そう言われるのですね」
「左様ですね」
「そうよ」
こう周りに告げた。
「ここはね、だからメも欲しいわ」
「メ、ですか」
「エア様が持っておられる」
「あの神の装身具ですか」
「神の力をこれ以上はないまでに強める」
「あれをですか」
「私が譲り受けてね」
そうしてというのだ。
「私のものとしたいわ」
「そして得たお力を、ですか」
「ウルクに注ぎ」
「そうしてですね」
「ウルクをさらに栄えさせたいわ」
妖艶な笑顔になってだった。
イシュタルは一計を案じた、その一計を彼女の頭の中でまとめてからそのうえで周りの従神達に話した。
「エア神の宮殿に行くわ」
「これよりですか」
「そうされるのですか」
「ええ、そうするわ」
こう言ってだった。
イシュタルはエアの宮殿を突如訪問した、神々の中でとりわけ美しくかつ妖艶な魅力を放っている彼女が来たのでだ。
エアの従神達は沸き立ってだ、彼等の主である厳めしい顔と髭を生やしたエアに対して口々に言った。
「イシュタル様が来られました」
「すぐにおもてなしをしましょう」
「宴を開きましょう」
「そうしましょう」
「うむ、しかし何故だ」
エアは宴を開くことに頷きつつ呟いた。
「ここに来たのだ」
「そんなことはいいではないですか」
「イシュタル様が来られたのですよ」
「あれだけお美しい方が」
「それならおもてなししなくては」
「神が来たなら誰でももてなす」
これがエアの考えだった。
「そうするが」
「それでもですか」
「何か気になりますか」
「左様ですか」
「どうもな、だがもてなそう」
イシュタルが何故来たか妙に思いつつもだ、エアは宴の用意をさせた。馳走それに酒を出させてだった。
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