第三章
[8]前話
その辺り全てをスベインの領土となった、ことが終わりスペインに戻ってから彼は親しい者に話した。
「私は運がよかった」
「だからアステカを倒せたのか」
「そうだ、一人の奴隷を手に入れたが」
親しい者に笑って話した。
「このこと自体がだ」
「幸運だったか」
「奇貨と言うべきな」
「そうだったのか」
「この者だ」
今はスペインの服を着ているマリンチェを紹介した。
「マリンチェという、彼女の言葉を聞いてだ」
「アステカを降せたか」
「そうだった、しかもだ」
「しかも?」
「この通りの姿だ」
笑ってその整った外見の話もした。
「最初はこの姿を見てだ」
「手に入れたか」
「そうだった、言語に通じ現地のことをよく知ってだ」
「しかも美人か」
「実に素晴らしい、それでだ」
親しい者にさらに言うのだった。
「子供ももうけた」
「そうした意味でもか」
「私は運がよかった、全ては神の思し召しだ」
「彼女を君にもたらしてだな」
「アステカを降しスペインの領土にしたことはな」
このことはというのだ。
「まさにな」
「幸運、奇貨を得たからだな」
「そういうことだ」
こう言うのだった、そして彼にマリンチェのことを褒めて話した。
今ではコルテスのアステカ王国征服は批判されることが多い、キリスト教の独善と攻撃性そして文明の破壊に虐殺、搾取と言われコルテスはインカ帝国を滅ぼしたピサロと並んで批判の筆頭にある。だがその批判を抜きにして歴史を見るとコルテスには幸運があったことがわかる。それはこのマリンチェを得たことだ、この美しい奇貨を得た彼はやはり幸運であったと言えよう、これもまた歴史の一幕ということか。幸運による成功もまた。
アステカの奇貨 完
2024・1・14
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