第一章
[2]次話
本物の馬鹿
馬鹿野阿呆男は実に愚かな男である、彼の知人は眼鏡をかけて黒髪を真ん中に分けた少し色黒で小柄で痩せた身体の彼について忌々し気に言った。
「あいつは本物の馬鹿だからな」
「そんなに酷いんですか」
「会って話をすればわかるよ」
知人は大学生の石田昭細面で細い目で茶色にした髪の毛をショートにしているすっきりした顎を持つ一七〇位の背の痩せた彼に答えた。
「その前にトランプにどう思う?」
「トランプっていうと」
「ドナルド=トランプだよ」
この人物の名前を忌々し気に出した。
「こう言えばわかるな」
「アメリカの前の大統領の」
「ああ、あいつのことどう思う?」
「嘘吐きでしょ」
すぐにだ、石田は答えた。
「選挙が仕組まれたとか」
「そう思うよな、君も」
「はい、その証拠があるならですよ」
石田は真面目な顔で答えた。
「出しますよね」
「選挙がインチキならな」
「そのインチキの証拠を」
「出さないでインチキだって言い募るのはな」
「嘘ですよね」
「普通はわかるよな」
「ええ、馬鹿じゃないなら」
「あいつは信じてるんだ」
トランプのその嘘をというのだ。
「それでトランプの言うことは何でもな」
「正しいですか」
「上本町のホイホイタウンのカードショップにいるよ」
「そこの店員ですか」
「ああ、けれどな」
彼の知人は石田にさらに話した。
「話をしてもな」
「それでもか」
「馬鹿だからな」
そうであるからだというのだ。
「もうそのことはな」
「わかっておくことですか」
「あいつの話を聞いても怒るなよ」
このことを前以て言うのだった。
「本物の馬鹿がどんなのか知ると思ってな」
「話するんですか」
「ああ」
石田にそうしろと話した。
「くれぐれもな」
「怒ったら駄目ですか」
「怒るにも値しない奴だからな」
「そうした人います?」
「それがあいつなんだよ」
馬鹿野だというのだ。
「兎に角本物の馬鹿を知るいい機会だからな」
「ホイホイタウンのカードショップですね」
「そこに行くといいさ」
「そのお店の名前は」
「マルプ屋だよ」
「マルプ屋ですか」
「プーチン社の会社だよ」
会社の名前も出した。
「直営店だよ」
「最近売り出し中のカード会社ですね」
「ああ、ブシロードを追いかけてるな」
「あそこの直営店ですね」
「そうだよ、また言うけれど本物の馬鹿を知りたいならな」
それならというのだ。
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