第三部 1979年
孤独な戦い
匪賊狩り その4
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を標的に絞った」
「イーラムの虎を支援しているのが、協力者(現地人工作員)を通じて英国人ということは噂の域を出なかった。
ソ連人を捕虜にして、ジャフナ市内のどこかに潜んでいるというのも分かった。
だが、その存在をつかむ手がかりはない。
そこでソ連軍とインド軍を使って、アンタらをいぶりだしたわけさ」
「これが俺の作戦さ。
もうアンタは籠の鳥だ。俺のために死ね!」
首領は、体のふるえを堪えながら、努めて冷笑して見せようとした。
「フハハハハ、籠の鳥は、お前ではないか、木原よ。
ハハハハハ、何ができるというのだ、ハハハハハ」
今度は、首領からいった。
マサキは、笑みをつつみながら、反論した。
「俺は、この基地を爆破できる」
「何ッ」
「警備兵が、基地の外に出払っている間に、俺の仲間の忍者が爆弾を仕掛けたのさ。
それにもうじき俺の人形が、この基地もろとも核ミサイルで攻撃する手はずを取っている」
シーンとした闇の中で、マサキのはっきりとした声が、皆の耳朶を打った。
「お前が、戦争ごっこのために集めた秘密資金や有価証券、金銀財宝……
全てが、灰になり果てるのだ!」
マサキは、傲岸な微笑を含んで、その人々を見下しながら、
「聞けぃ、木っ端ども!
もうすぐ、この男は破産して、『イーラムの虎』は無一文になる。
お前たちには1ドル、いや1セントも支払いですることが出来なくなるであろう」
(1979年のドル円レート、1ドル= 239円)
答えは、唇の端に歪めた微笑をもってした。
低い一声、静かな呼吸の一つも、もういたずらに費やすことはできないものになっている。
銃を握って佇んでいた護衛たちの顔は、途端にさっと蒼ざめた。
いかに勇猛な者どもも、こうした破綻を目の前に立つと、日頃の顔色もない。
「待ってくれッ、よし、分かった。
と、取引をしようじゃないか、木原博士」
マサキがいったために、首領は急に動顛したのであろうか。
ふいに横からいった。
「あんたらの本当の狙いが、英国のMI6というのならば、私がその全容を明らかにしよう。
それでどうだッ、ソ連兵の誘拐の件からも手を引こう!」
その瞬間、プラバカランは、後ろに立つ白人傭兵に脳天を狙撃された。
首領の影が、ただ一発の弾音に、地上へころげ落ちると共に、タミル人戦闘員たちは、もとの道へ散っていった。
後に残ったのは、ワイルドギースの傭兵メンバーと、そのリーダーのみだった。
リーダーのマッドマイクは、談笑でもしている様に、こんな露骨な言い分をも、さも気軽げに口にした。
「フォッフォフォ、結構、結構。
さすがはゼオライマーのパイロットだけは、あるな」
白人の男は、自動拳銃をホルスターにしまうと
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