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冥王来訪
第三部 1979年
孤独な戦い
匪賊狩り その3
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、限度がある。
白銀も、やがては、戦いつかれ、マサキも進退きわまって、すでに自刃を覚悟した時だった。
 
 突如として、象牙色の軍服を着た一隊が、銃剣を構えて、彼の前にあらわれた。
顎ひも付きのパナマハット、ドラグノフ小銃や最新鋭のAK74小銃などの装備から、GRUのスペツナズであることが分かった。
「ソ連兵を救いに来た部隊の様ですね」
 覆面を付けたスペツナズ隊員は、マサキ達の方に小銃を振り向ける。
ソ連兵の突いてくる銃剣の柄にしがみついて、マサキは離さなかった。
日本野郎(ヤポーシカ)、このまま、お前を殺してやりたいところだが……」
黙然と、見つめていたが、やがてマサキは、フフフフと、唇を抑えて失笑した。
「そんな事は出来ないな……、さっさと銃を下ろせ」
 マサキは眼を怒らして、ソ連兵を睨みつけ、拳銃に手をかけていた。
ソ連兵の笑っている目に気づいた。見くだしているのである。
「フッ、さっきのお礼という訳かい」

「『イーラムの虎』の首領の首を取って、ラトロワたち二人とともに帰るんだ」
「何故、俺たちに預ける?貴様らの仲間だろう」
「……囮だ。
ラトロワと同志大尉に敵の目が集まっている最中に、この基地を根こそぎ爆破する為にな」
「人質の露助のお守りを俺たちに押し付けた方が、かえって好都合という訳か」
「あと2時間もすれば、航空支援が来て、ここは一面灰に覆われるであろう。
貴様ら、しっかり戦えよ。精々、俺たちの足手まといにならないようにな」
と言ったソ連兵のその唇もとが、マサキの方には必然な挑戦の笑みかのように眼に映った。
そこでマサキは、間髪をいれずに、ソ連兵へ、こう言いかぶせた。
「露助どもよ、お前らと組むのは、これが最後だぜ。
この決着は、必ずつけてやるからな!」
マサキは、大容(おおよう)に、ふてぶてしく、笑って退()けた。
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