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冥王来訪
第三部 1979年
孤独な戦い
匪賊狩り その3
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 制御を失ったF−4ファントムは敵機の機関砲で、機体を損傷されるもミサイルで応戦した。
管制ユニットの制御を失った際に対応できるよう、電子機器搭載のミサイルを装備していた為であった。
 ファントムは黒煙を吐きながら、地表に落下していくも、敵機はミサイルによって全滅した。
管制ユニットのない戦術機から、攻撃を受けることはない、と油断したためであった。


 落下傘降下したマサキたちは、強化装備を脱ぎ捨てると、用意した深緑色の野戦服をまとう。
グレネードランチャーを装着したM16小銃と、日本刀や手投げ弾といっためいめいの武器を持つ。
モジュールから脱出し、暮夜密かに基地に侵入した。
 マサキには、不安で仕方なかった。
いくら、M203擲弾筒付きの最新のM16A2自動小銃でも、数百名が潜む基地に乗り込むのは自殺行為。
 弾薬はそれぞれ20連マガジン15本で、300発と、グレネードが6発。
リボルバーは、予備のスピードローダー二つで18発に、手投げ弾6つ。
 白銀は、そのほかに鞘袋に入れた軍刀を背負ってはいるが、不安はぬぐえなかった。
「どうするのだ……」 
「切り込みます」
「何!」
「上杉謙信公は、かつて、こう申されました。
死中(しちゅう)(せい)あり、生中(せいちゅう)(せい)なし』」
 敵地に潜入するからは、覚悟のまえだった。
この()になって、もがくこともない。
 精一杯、この一瞬を生き残る。
白銀の悲壮なまでの決意に、マサキは圧倒されるばかりだった。
「日本人に、帝国軍人にのみ、出来る戦い方です」
 そう言って、背中にある軍刀のひもを解く。
鞘ごと握って、マサキの目の前に突き出した。
「だから、これを持ってきたんです」
 そう言い残すと、軍刀を背負い、駆けだしていった。
基地へ近づくや、立ちどころに歩哨を斬り捨て、無言で、陣中へ入った。
 軍刀をふりかぶったまま、血けむりの中へ消えこむように駆けてゆく。
その姿を後ろで見ていたマサキは、白銀の猪武者ぶりに、呆れる事しかできなかった。


 不意の襲撃に、寝耳に水の愕きを受け、ジャハナにある敵基地は、上を下へと、混乱を極めていた。
暗さは暗し、「イーラムの虎」の戦闘員は、右往左往、到る所で、同士討ちばかり演じた。
 白銀は、思う存分、あばれ廻った。
それに呼応するように、マサキは持ってきたグレネードを全弾発射した。
 たちまち、諸所に火の手があがる。
前からは、敵兵、三千ほどが、ふたりの影を認めて、雨のごとく、銃を撃ってくる。
 しかし、わずか二人では、ひとたまりもない。
持ってきた300発の銃弾は、既に60発を割るほど少なくなってきていた。
マサキの生命は、暴風の中にゆられる一本の燈火にも似ていた。
 武勇にも
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