八十一 決壊
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術使ってる間はナーちゃんでいいってことッスね!』
『いやだから、その呼び方もよせって何度も・・・もういい』
聞き慣れない呼び名に、ナルトは眉を顰めた。
大蛇丸と自来也を足止めしている最中、隙を見て“念華微笑の術”で木ノ葉の里にいる彼らに連絡をとったのだが、いつの間にか“主”という名前に定着されていた事実が発覚して困惑する。
今度は前々から何度やめろと言っても聞かないフウにナーちゃん呼びをされて、一瞬反論したものの、諦めて話の続きを促した。
そうでないといつまで経っても平行線のままで、本題に入らないからだ。
『早急に簡潔に現状報告を』
『ペインが里全体に何か仕掛けるつもりだ』
ナルトの声に応じ、ウタカタが要望通り簡潔に答える。
『…そうか』
(大掛かりな術となればあの術に他ならない)
“神羅天征”。ペイン天道はその術を木ノ葉の里を全壊させ、波風ナルを炙り出すつもりだ。
予想通り、火急の事態に陥っている。
もっともこうなることを見越して、彼らに助力を頼んだのだが、ナルトは一瞬、躊躇いを見せた。
本音を言えば、こんな里滅んでしまえばいい。
かつて里人にされてきた仕打ち、忘れたわけではない。
暴力を振るわれ、罵声を浴びせられ、罵られ、幾度も殺されかけてきた。
加害者はいつだって自分が加害者だという自覚はなく、自分こそが正しく正義だと信じて疑わない。
むしろ今では昔自分達がしてきた行いをすっかり忘れ、ペインが襲撃するまではのうのうと平和に生きていただろう。
それでもナルが──波風ナルが望むのならば。
『ユギト、やぐら、老紫、ハン、ウタカタ、フウ』
(又旅、磯撫、孫悟空斉天大聖、穆王、犀犬、重明)
“念華微笑の術”で里内部にいる全員の名を呼ぶ。
己の憎しみも恨みも怨嗟も全てを呑み込んで、ナルトは決断を下す。
決して里人を許したわけではない。
かつて木ノ葉の里に残してしまった彼女への負い目と罪悪感から。
ナルトは前以て彼らに禁じておいた事柄を解禁した。
それは折しも、ペイン天道が術を発動するのとほぼ同時だった。
「────“神羅天征”」
『──尾獣化を許可する』
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