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渦巻く滄海 紅き空 【下】
八十一 決壊
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て術を発動させたペイン畜生道。
眼を見張った老紫が気づいた時には、畜生道の傍には寸前までいなかった口寄せ動物がいた。

「…ッ、前以て口寄せしていた動物か…!?」


カメレオン。空気に溶けるようにして姿を消していたソレが畜生道の傍で姿を現したのだ。
自在に姿を透明化できるその口寄せ動物の背中に、畜生道が手を伸ばす。

いつの間にか畜生道の傍まで近づいていたカメレオンの接近を許してしまった。
姿を消せるが為にカメレオンに全く気づけなかったことは業腹だが、それ以上に。

「よさんか…っ!無理に抜け出そうとすれば…」


完全に火山岩で埋もれている両足を無理に引っこ抜けば、足が千切れる。
にもかかわらず、カメレオンの背中を地面に見立て、畜生道は“口寄せの術”を発動させた。


途端、やぐらの“水牢の術”の牢屋内に囚われていたペイン人間道の姿も水球から姿を消す。
”口寄せの術”で回収されたのだろうとすぐ思い当った老紫は、予めナルトからペイン六道が遺体だと聞いていた故に、嘆息した。


「死人に鞭打ちすぎじゃないかのう」
「全くだ。もう休めばいいものを」


いくら遺体で痛覚がないからと言って、足を引き千切って離脱するとは。

老紫に同意しながら、やぐらが“水牢の術”を解除する。囚人無き水の珠が飛沫をあげて地面に滴下した。



透明化しているカメレオンの背中に手をついて“口寄せの術”を発動させたペイン畜生道。 
同じく“水牢の術”に囚われていた人間道も口寄せの術で回収したということは、一見、撤退に見えるが、腑に落ちない。

ナルトの指示を仰ごうと思った矢先に、老紫とやぐらはハッ、と木ノ葉の里の上空を仰いだ。


畜生道の巨大な口寄せ動物やマグマでもはや廃墟と化した建物。
半壊した屋根の隙間から射し込む太陽の光に照らされてシャボン玉が虹色に輝く。



同時に脳裏に響いた合図に彼らは──新生“暁”の面々は従った。



























『──戦況は?』

【念華微笑の術】。それは、伝えたい事柄を音にせず念じる事で相手に伝えられる術だ。
この術を使うには術を編み出したナルトの許可が必要。ナルト自身が媒介となっているため、万が一秘密裏に術で会話しようとしてもその内容は間にいる彼に筒抜けとなる。

つまりは山中一族の秘伝忍術を聊か改良したものだが、要するに声に出さずとも相手へ意思疎通を図れる代物だ。

『主』
『ナ…主ちゃん!』

ペイン天道と空中戦を繰り広げていたウタカタとフウは、それぞれ脳裏で聞こえてくるナルトの声に応じた。

『なんだその呼び名は』
『えっ、じゃあこの
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