第二章
15.鎧の剣士、そして
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ゆっくりと近づいてくる鎧の剣士。
その雰囲気に、フォルは気圧された。
なんとか、他の二人よりも一歩前に出る。
自分の気持ちを奮い立たせる意味だけではない。老アークデーモン・ヒースはともかく、最初から話し合いは困難と考えている少女バーサーカー・シェーラの暴走を懸念しているためだった。
そんな姿勢が奏功したのか、彼女もいきなりは前に突っ込まない。
「あ、あなたが、ロンダルキアを監視されていたおかたでしたら、お願いがあります。そのために来ました」
鎧の剣士の動きが、とまった。
フォルは安堵した。会話にならずいきなり斬りかかられてしまうことが最悪の想定だったためだ。
「ロンダルキアの邪教を見張ること。それが神より託されし私の任務だ」
「お会いできてよかったです。ええと――」
「用件を言え。ハーゴンの使徒がなんの用だ」
急かされると、フォルは一度頭を下げてから姿勢を正し、本題に入った。
「ロンダルキアへの監視を、中止していただきたいです。もしくは、監視を続けられる場合でも、すでにロンダルキアが世界を脅かす存在でないことを認めていただきたいのです」
「……」
無回答。
もちろんすんなり話が進むとはフォル自身も思っていない。
「理由も説明させてください」
フルフェイスでまったく顔の見えない、目の部分すら陰となっている、何もうかがえない兜。
声の異様さも相まって、鎧の剣士の言葉に込められた心情がまったく拾えなかったが、話を続けていった。
「ご存知だと思いますが、あなたがたが『ハーゴンの神殿』と呼んでいた大神殿は崩落して消滅しています」
「それはここから確認している」
「大神官ハーゴン様も、ハーゴン様が召喚された破壊神シドー様も、ロトの子孫であるローレシアの王子・サマルトリアの王子・ムーンブルクの王女の三人に討たれ、教団は壊滅しました」
「それも聞いている。大神官や邪神が滅んだことで、空は澄み、世界そのものが生き返ったようだった。だが……また何やら新しい建物ができている」
「おっしゃるとおりです」
ここでフォルは、隠さず伝えようと思っていた言葉を口にした。
「私は大神殿の信者の生き残りです。いま、教団を再建しようとしています」
鎧の剣士が、手にしていた重厚な剣を構えた。不気味な音がした。
合わせるように、老アークデーモン我三つ又の槍を構え、バーサーカーの少女も斧と盾を構える。
だがフォルは片手を後ろに向けることで、二人をあらためて制した。
「すでにロンダルキアで生き残っていた同志たちは一つにまとまり、協力して生きていくことになりました。ロンダルキアの外は……教団支部はすべて崩壊済みと聞いていますが、今もなお信仰心を捨てず、信者として
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