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邪教、引き継ぎます
第二章
15.鎧の剣士、そして
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かはわからない。もしかしたら、亡霊のままずっと任務を果たさせてあげ続けることが、この人にとっては本当の幸せだったのかもしれなかったし。君が不正解だとは限らないと思う」

 というか、剣士さんが亡霊であることにも気づかなかった僕が出しゃばるのはよくなかったかもなあ――と付け加えながら、男はフード越しに頭を()いた。

 一方、バーサーカーの少女のフォルに対する呆れ度合いには拍車がかかったようである。

「いや、オレが言いたかったのはそういうことじゃないんだが」
「あっ、シェーラさんとヒースさんにもお礼を言わないといけないですね。ありがとうございます」
「それも違うぞ……。人間って、ついさっきまで自分を殺そうとしてた奴に頭を下げる種族なのかってことだよ」
「えっ?」
「まあまあ。それよりも、じゃ」

 噛み合わない二人の会話をおさえつつ、老アークデーモンはマントの男を見た。

「そちらの人間、ワシはただ者ではない気がするがのお」

 三人のうち、彼だけは手持ちの武器をしっかり握ったままだった。
 その人間の旅人は穏やかな声と雰囲気をしている。だが、魔術師だけならまだしもアークデーモンやバーサーカーを目の前にして、まったく恐れる素振りを見せない。その不自然さを警戒していたのである。

「自己紹介をお願いしてよいかの? あとは、敵なのか、味方なのか、それも頼むぞ」
「うん。いいよ」

 マントに身を包んだフードの男は、フォルたち三人の顔をサッと見た。
 そしてもう一度フォルを見る。今度はその仮面でなく、手元を。

「お、いま気づいた。魔術師の君のその杖、見覚えがあるよ。もしかして、あのとき悪魔神官の隣にいた? もしそうなら会うのは二回目だね。ああ、だけど、しゃべるのは初めてだから、やっぱり初めまして、かな」
「――!?」

 その言葉に、一転、フォルの全身が硬直した。

「もしや、あなたは」

 男は、フードとマントを開いた。
 開放型のヘッドギアからあふれる、茶色がかった豊かな金髪。額にセットされたゴーグル。やや垂れ気味の目。
 そして……。
 ロトの紋章が入った、緑色の服――。

「うん。そうだよ。僕はサマルトリアの王子、カイン。敵だね」
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