第二章
15.鎧の剣士、そして
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「ぐっ……うっ」
両手で支えた杖で、真正面から受ける。
「……っ……うわっ!」
かつて悪魔神官ハゼリオが使っていたいかずちの杖は、折れない。
だがやはり膂力が違いすぎた。
簡単に後方に押し倒されたフォルに対し、鎧の剣士は覆い被さるようにさらにその大剣に力を込めてきた。
「ぅ……!」
押し返すことができない。
じりじりとフォルの仮面に迫る、大剣。そして鎧の剣士の頭部。
「……!? あ、あなたは――」
至近距離で見た兜に、違和感を抱いたフォル。しかし当然、押し付けられた大剣の力は緩まない。
「う……ぅあぁっ……っ!?」
まさにフォルの仮面を割ろうとせんばかりに剣が肉薄していたが、そこでふっと重みが消えた。
焦点が合わぬくらいに近づいていた剣も、いや、剣士そのものの姿も消える。
直後に、大きな金属音が、一度、二度。
「大丈夫かいの」
老アークデーモンの声。そして手首にはバーサーカーの少女の手が強く握られ、フォルは引き上げられた。
「あ、ありがとう、ございます」
二人がかりで剣士を引き剥がし、放り投げたのだった。剣士の重厚な鎧の防御力を考えると、フォル救出のためには武器で叩くよりもよい対応だったようだ。
柱にぶつかって倒れた剣士は、いま立ち上がったところだった。
「フォル。オレたち二人はもう本気で戦っていいな?」
「待ってください」
「まだかよ! もう結論は出たんだろ」
「いえ、このかたはおそらく――」
「また来るぞ!」
激しい金属音がした。
今度はバラバラではなく、老アークデーモンと少女バーサーカーの二人がそれぞれの武器を同時に出し、鎧の剣士の大剣を受け止めていた。
力は拮抗し、互角に押し合っている。
「剣士さん! 私を信じていただきたいです。私は本気で――」
「信じぬ!」
「では信じなくてかまいません! 監視を続けていただいてかまいません!」
何を言っている――そんな表情でシェーラが一瞬フォルを振り返る。だが力は抜かなかったようで、均衡の取れた押し合いは続く。
「信じなくて大丈夫ですので、ロンダルキアまで来て、堂々と、心置きなく監視なさってください。あなたの役割はロンダルキアを見張ることだとおっしゃいました。ならば、私のすぐそばで監視を続けてください。ここで見るよりずっとよく見えるはずです。私たちがおかしなことをしようとしていたら、他の国に報告していただいても結構ですし、その場で私を討ってくださっても結構です。何年でも、何十年でも、何百年でも。あなたにはそれができるのでしょう? だってあなたは……」
一呼吸だけ置いて、言った。
「……もう亡くなられているのです
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