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邪教、引き継ぎます
第二章
15.鎧の剣士、そして
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の毎日に戻りたいと考えている者は必ずいるはずです。私たちはロンダルキアで教団を再建することで、その者たちに信者として帰る場所を準備させていただいたつもりです。それは他の国を滅ぼすためでもなく、世界を破滅させるためでもありません。私自身も含め、生き残った教団の同志に信者のまま生きていくという選択肢を作りたかった、ただその思いだけです」

 鎧の剣士の大剣の切っ先は下がらない。

「最初はそう言って(だま)し、戦力が回復したら方針を変えるつもりなのだろう」
「それはありません。自分たちの暮らしを守るためにどうしても戦わなければならないときもあるかもしれませんが、それ以外の無用な戦いをするつもりはありません。私たちに関係のない国に迷惑をかける意志もありません。外の世界ではロンダルキアを一番長く観てきたであろうあなたに、どうかそれをお認めいただきたいと思っています。お願いします。信じてください」

 フォルは身振り手振りも交えて、伝えた。
 あまりに必死すぎて、ロンダルキアで待つ同志の一部にまだ伝わり切れていない思いや、納得しきってもらっていないかもしれない思いまでしゃべってしまっているような気がした。だが、きっといつかは自分の考えを支持してくれると信じてもいた。ここで口にしてもかまわないと思った。

「邪教の信徒が口で何を言おうが信用できぬ」

 しかし、その必死さは厚い鎧を貫くまでには至らないようだった。
 あらためてガチャリという音とともに、鎧の剣士が構え直した

「教団再建を企てる残党の首謀者が現れたのは僥倖(ぎょうこう)なこと。ここで討つ」

 待ってください――。
 そう言う前に、鎧の剣士がフォルに斬りかかってくる。全身を鎧で固めているとは思えない速度だった。

 高い金属音がした。
 フォルの首は飛んでいない。構えた杖までも到達していない。重厚な剣は、さらに手前でとまっていた。

「もう少しこやつの話を聞いてくれぬかのお」

 剣を阻んだのは、伸びてきた三つ又の槍だった。
 しかし。

「うおっ!?」

 三つ又の槍を、鎧の剣士が払う。
 老いているとはいえ、世界の生物の中では抜群に強い力を誇るアークデーモン。なのに横に倒され、転がされてしまった。
 ふたたび両手剣がフォルを襲おうとする。

 今度はバーサーカーの少女が素早く間に入り、斧をぶつけるように出して受けた。

「なっ、なんだこのクソ(ぢから)――うあッ」

 攻撃の重さに驚きの声をあげた彼女に、やはり直後に薙ぎ払いが襲う。盾を出したが受けになっていない。石の床の上を派手に転がった。

 慌てるフォルだが、二人に声をかけることすら許されない。
 すぐに来た次の斬撃を、自身が杖で対応することになった。

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