抑制という名の衝動
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だけのものだと周りに認識してもらわないと困るのだ。
俺がいたから、トーリが動いたなどと余計な無粋はされたくないのだ。俺がいなくてもトーリは動いたという周りの認めが欲しいのである。
トーリ本人はそんなのどうでもいいじゃんかようとか言って苦笑するだろうが、そうはいかない。
俺がせっかく律義に約束を守ったのだから、お前も守ってくれなきゃ釣り合わないだろうが。
お前の横に立ってやるとは言ったが……合わせてやるとは一言も言ってねぇ。俺が横で馬鹿をして欲しければ、お前が自力で横に来てもらわないと、俺は無視するぞ。
でも、そうはならないと思っていた。
何も出来ねぇ馬鹿の癖して、いや、だから諦める事も出来ない馬鹿らからこそ、絶対にそんな事は起きないと思っていた。
ああ───だからこそ、お前を俺が誇らせるために決着を早くつけろよ親友。
その瞬間を聞き逃さないために、外界に耳を澄ませる。
すると、何か嫌な予感を感じるようなセリフをおっさんが言った。
『成程なぁ───決裂するわけだな。そうだよなぁ。お互いに平行線でなしに。そうかそうか───じゃあ、ガリレオ、やれ』
言葉と共に今まで感じていなかった場所に急に気配が生まれる。
それに体が勝手に反応し、目を開ける。
既に視線と体は勝手に生まれた気配の方に動いている。視線に籠もる力はもとより指先や足先まで力がいい感じに貯められていく感覚がある。
体が反応している。
剣神なのだから、勿論、剣を振るう場所───すなわち戦いの雰囲気を。
体育などの訓練などとは違う。正しく本音を出し合える場の雰囲気と匂いを自分の血と肉と意識が反応する。
「……そっちです!」
智の声が聞こえ、ようやく全員が俺が感じ、見ている方に視線を向けた。
そこにいるのは魔神族であった。
K.P.A.Italiaの制服とKの外套を身に纏った赤の魔神。顔には眼鏡をかけている。おっさんが言った名前から誰かは想像できる。
K.P.A.Italia副長 ガリレオ・ガリレイだ。
だが、周りの馬鹿どもの対応は見事で、既に動こうとしている人間がいるので、ここは素直に頼りになる馬鹿どもだなと思った。
言うとつけあがるから絶対に言わないが。
ともあれ、少しむかついた。
せっかく、俺が似合わねぇ禁欲かまして事の経緯を楽しんで見ていたのに最悪な気分だ。
素晴らしい本を見ていたのに、終わる前にネタバレをされた気分だ。はっきり言って面白くねぇ。
そうと決まれば、やる事はただ一つ。
つまり───つまらん輩は殴ってご退場願おうか。
「拙・僧・発・進……!」
ガリレオ・ガリレイが公邸に現れた途端、動いたのは半竜であるウルキアガ君であったと浅間は見た。
いや、それとも異
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