抑制という名の衝動
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獣であると。
「まだ何も始まっていないんだ。まだ何も決まっていないんだ。まだ何も選んでないんだ。それをしようとしている所にてめえらが邪魔しやがる。はっきり言ってうぜぇの一言だぜ」
「悪いが、これも私達の仕事でね」
「ああ。だから────」
少年は袖からメスを取り出した。
それも両腕から。
武装……と言うには余りにも頼りなく、余りにも細く、余りにも小さい武器である。とてもじゃないが戦闘に使えるとは思えない。
自分の甲殻にぶつくたら直ぐに折れてしまうようなか細さである。
なのに、少年はまだ笑っている。
「それを邪魔するのが、俺の仕事だな」
「……それで敵うと思っているのかね?」
「逆に聞くが───俺に勝てると思ってんのかよ」
傲慢な答えだ。
まるで自分が無敵であるかのような返答に目を細める。
既にこの少年は自分の力を隠す気はなくなったらしい。既にここまで動き始めたから、隠す必要性がなくなったという事だろう。
「何だよ親友! そんなお姫様を守るような騎士様みたいに格好つけやがって! ちくしょう! 俺、惚れちまいそうだぜ!! ───終わったら、俺をあ・げ・る♪」
唐突に不敵な笑顔をそのまま凍らせたまま、こちらに少し待てのジェスチャーをして、後ろに振り返って、そして手には何時の間にか本が握られている。
「あ! それはさっきまで俺が見ていた銀髪特集ページ! 何だよ〜。もしかしてシュウも銀髪キャラが好みだったのかよ! 恥ずかしがらずに教えてくれたら俺の厳選エロゲをプレゼントしてやったのに!」
「……」
その笑顔と沈黙のまま、武蔵副長はその本を懐から取り出した火打ち石で燃やし始めた。
「ああーーー!! お、おおおおおめぇ!? 一体何してんのか解ってんですかーー!!? え? 十分に解っている? だから俺は止まらない? 馬鹿野郎! お前が今やってることはすなわち男たちの秘宝を潰すという試み……! つまり、世界中の男共を敵に回してるんだぞ!! それを本当に解ってやってんですかーーー!! え? てめえと世界の男共を一緒にするんじゃねぇ? 皆、お前よりは穢れていないんだから?」
「……何でお前は喋っていない熱田と会話できるんだ……」
「え……?」
「ちょっ! 何だお前らのその無駄に変で高等なスキルはーー!?」
何やら向こうで興味深くない行いが起きているが、興味深くないので無視させてもらった。
武蔵副長がやれやれといった感じで再度こちらを見たからである。
「───ここで私と相対をする気かね」
「勘違いすんな。俺は今はお前らとバトルする気はねぇんだよ。今は。だからなぁ───」
にやついた笑顔をそのままに、彼は挑発を続けた。
「頼むから俺をこのま
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