抑制という名の衝動
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、格好いい俺様ぁーーーーーーーーーーーーーーん!!!」
彼の肩に馬鹿が現れた。
唐突な感触にガリレオは驚きよりも疑問が先に浮かんだ。
……何時の間に私の肩に乗った……?
完全に知覚出来ていなかった。
そもそも、肩に乗るどころかこちらに来るところですら知覚出来ていなかった。
術式か?
否。
それならば術式を使用した形跡が見つかるはず。流体光か表示枠。何かがあるはずだ。
ならば、加速術式か。
それならば───否、無理だ。
それならば逆にここまで来るのに遅すぎる。加速術式を使っているのならば、元いた場所から、ここまでにそこまで時間がかかるはずがない。
武蔵副長の場所はここに転移する時に一番に確認されている。無能の副長とは言っても副長ではあるのだ。逆にそうやって正体不明でいるのが一番怖いと思っているので、やはり警戒はしていたのだ。
相手が錆び付いた剣であっても油断だけはしていなかった。
自分は副長ではあるが、純粋な戦闘系ではない。むしろ、文系である。魔神族故に身体能力は並の人間を凌駕しているが鍛えてはいない為に逆に並ではない人間には及ばない。
剣神というのは、その最たるものだとガリレオは思っている。
だから、彼は周りの意見など気にせずに、彼を注意していたのだが、この状況を見る限り、まだ甘かったという事だろう。
だから、ガリレオはそのまま淫蕩の御身を持っていない右の腕を肩に突き刺すように振るう。
だが、その直前に
「……!」
また消えた。
いや違う。今回は本当に彼を注視していたお蔭で、絡繰りは解らないが、どうなっているのかは解った。
言葉で表すなら───見えているのに見えていないのだ。
視覚には映っている。
視界の端に彼の存在が見えている。
だけど、それを何故か知覚できないのである。見えている、だけど見えていない。故に体の反応は止まってしまう、腕も止まった。
そして丁度、目の前に彼の姿が見え……いや、知覚出来た。
「よう。どうした? そんな間抜けなポーズをとって?」
「……いや」
にやにやと笑う武蔵副長の少年。
それを見て、ガリレオは冷静に理解した。
自分が、今、倒れていないのは彼がその気になっていないからであると。
「……元少年」
『ああ、解っている』
表示枠の元生徒である教皇総長が呆れたように目の前の少年を見ながら嘆息した。
『誰だ、奴を無能だとと判断した奴は……節穴にも程があるぞ、おい』
そうだなとガリレオは頷きながら内心では歓喜に震えていた。
そう、解らないのである。
少年が何をしているのか。これから何をするのかも解らない。
そう。解らないからこそ───面白いと
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