第五十八話 見えてきたものその八
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「それで今度結婚十回目や」
「エリザベス=テイラーさんか?」
その話を聞いてだ、羅は思わずこの伝説の女優の名前を出した。マリリン=モンローのライバルだったことでも有名である。
「その人は」
「いや、シドニーで小さな会社経営してる人や」
「そうなんか」
「それが何かとあってな」
「十回結婚してるか」
「年に二回離婚したこともあるわ」
そうしたこともあるというのだ。
「結婚生活が続かんのや」
「そんな人か」
「今三十七歳やけどな」
「それで十回かいな」
「凄いやろ」
「どんな人や」
三十七歳で結婚十回と聞いてだ、羅も驚いた。
「何でそこまで離婚して結婚してるねん」
「結婚生活が続かんのや」
「そうなんか」
「ちょっとしたことで切れて」
「離婚かいな」
「そうしてるんや、めっちゃ美人やけどな」
それでもというのだ。
「起きた世界の人やが」
「結婚十回か」
「それでその人のことを思うとな」
そうすればというのだ。
「諦めへんことってな」
「大事やな」
「ああ、結婚十回か」
「ちなみにその人浮気せんで」
「それで十回や」
「この人この塔踏破出来るやろか」
「出来る筈ないわ」
羅は怒った様な顔になって言い切った。
「めっちゃ飽きっぽいかちょっとしたことで切れるんやな」
「そや、仕事は別にしてな」
「仕事は気が長いか」
「そや」
「けどプライベートでそうやとな」
羅はそれならと答えた。
「もうな」
「パーティー組んでもな」
「絶対にすぐに揉めて」
そうしてというのだ。
「お別れになってな」
「やっていけんな」
「それでこの塔の踏破なんてな」
「無理やな」
「ああ、諦めへんのはな」
「お付き合いも入る場合もあるな」
「お付き合い自体もな、しかしその人死ぬまでにな」
それまでにとだ、羅は思って言った。
「一体な」
「どれだけ離婚してるか」
「結婚何回になってるかな」
このことがというのだ。
「気になるな」
「初婚幾つや」
「十九や」
シェリルは羅に即座に答えた。
「そやった」
「それで今三十七やな」
「それで十回や」
「還暦までに二十は普通に越えるな」
「そうなるな」
シェリルも否定しなかった。
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