第一章 グレンダン編
シキという武芸者
シキ・マーフェス【リメイク】
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剣を構え直し、持ち上げる。男はそれを見て警戒をする。もちろん油断をしないで。
『普通なら避け続けるの一択だ。だが、それはちょいとめんどくさい。だからさ』
「ふっ!」
外力系衝剄の変化、閃断。
剣に収束した剄を放つ一般的な技だ。しかし、レイフォンの膨大な剄を受けて普通では有り得ないほど巨大な刃が男の剄弾を消し飛ばしながら突き進む。
男は驚きながら、身を屈め、転がりながらその飛来してきた刃を避けた。そして再びレイフォンを見るが既にそこにはレイフォンの姿はいない。目を動かしながらレイフォンの姿を探すがどこにもいない。
右にも、左にも、正面にも……まさか?
そう男が思って、上を見ると太陽を背にレイフォンがいた。その手には剄が収束されており刀身部分が巨大化したように見えた。
『テキトーに目くらまししてゴリ押せ』
外力系衝剄の変化、轟剣。
男は避けようとするがそれよりも落下し剣を振り下ろすレイフォンのほうが早かった。
直後、轟音と共に闘技場が揺れた。
「シケてやがる……やっぱり、もうちょいデカイ大会に出るべきだったか」
ジャラジャラと大金が入った袋を持ちながら、シキはそう呟いた。そう言っても、入っている賞金の額はそう簡単に出る金額ではない。しかし、孤児院の子供たちを食わせるのには少々足りないくらいだった。
シキが大会に出た理由は、自分の力を試したいという理由と優勝した賞金で孤児院の経営に少しでも役立てて欲しいという思いだった。
シキとレイフォン、二人のおかげでデルクの孤児院の経営は少しずつだが上に向いていった。だが、他の孤児院はそうであるかと言われれば否定するしかない。
汚染獣との戦闘が当たり前の都市であるグレンダンでは、汚染獣戦で武芸者である親が死んで孤児が出ることが多い。強さを求めるグレンダンでは、弱い孤児たちを見る者などごく少数、いないと言っても過言ではない。
「クソっ、こんなんじゃ足りない」
シキはもっと金が欲しかった、もっと、もっと……。
「シーキー!」
「ぬぉい!?」
そんな思考を永遠としようとした時、突然後ろからの衝撃に驚く。
いや、衝撃といっても女性らしさの塊が当たっているので実質衝撃など無いに等しいのだが、シキはその柔らかいものの感触に驚いていた。
「あぁん、シキ! 一週間ぶり! 元気にしてた? 試合見てたわよ、カッコよかったわ!」
「し、シノーラさん、お久しぶりです」
「シノーラでいいのに、それかお母さん!」
満面の笑みでシキを抱きしめている絶世の美女、彼女はシノーラ・アレイスラ、シキがもっとも苦手とする女性の一人だった。最初に会ったのは五年前、まだシキが刀を持ち始めた頃だった。偶然、出会った彼女の姿を見てギョッとし
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