第一章 グレンダン編
シキという武芸者
シキ・マーフェス【リメイク】
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があるが。
その補助は先ほどリーリンを含めた、女性陣がやっているため台所は女性が切り盛りしている状態であった。男性陣も料理ができるのだがシキ以上の人材がいないため黙々と朝ごはんを口に含んでいた。
数十分後、ようやく片付けなどがひと段落したところでシキは余り物や食べ残しで作った朝ごはんを食べる。食べ残しを食べる理由はもったいないというのと、シキも九歳の子供という成長期にいる子供だからだ。
「……うまいなぁ」
食べ物というのは、シキの中では神様のようなものだった。どれだけ力を持とうと、どれだけ人に頼られようと、食べ物がなければ助けられないとシキは知っている。
まだまだ、育ち下がりの子供には似つかわしくない影が顔に張り付いていた。しかし、湿っぽいことが嫌いなシキは一気に食事を口に流し込んだ。当然、喉に詰まらせ勢いよくテーブルを叩く。
「みふ! みふをふれ!」(水! 水をくれ!)
「……」
まだ椅子に座っていたデルクが無言でお茶を手渡す。
シキは涙目でそれを受け取ると、喉を鳴らしながら食道にある食べ物を流す。
「ぷはぁー! 死ぬ、マジで死ぬ! あんがと、父さん」
「あぁ」
言葉が少ないが、これが不器用な養父の素だとわかっているシキは苦笑しながら感謝する。
これがシキの朝の光景だった。
*
「なぜだ! なんでこんな子供にッ!!」
「……」
お昼すぎ、湧き上がる歓声、幾多もの武芸者の血を吸ってきた地面、ここはグレンダンにある数ある闘技場の一つだった。
青石錬金鋼の槍がシキを襲う。シキはそれを二つの銃で受け止める。
対戦者の男は、若いが数多くの戦場に立ち、実際汚染獣と戦い生き残っている。だから少し驕っていた。それも仕方がないだろう、相手は十歳にも満たない子供で可憐な少女っぽい少年。男は余裕で勝てる決勝戦だとタカをくくった。
だが、蓋を開けてみれば男は劣勢に立たされていた。
「くそっ! くそぉおお!!」
「剄息が乱れてるよ、冷静になりなよ」
さらには自分のミスを指摘される始末である。男は更に激情に駆られた。
対してシキは冷めていた。賞金のために参加した大会だったが、期待はずれにも程があった。初対面は、顔に傷が有り、中々鍛えられている身体で準備体操くらいにはなると思ったがそれすらならないというのため息しか出ない。
朝の訓練の疲れがあり、もう終わらせてもいいが、銃衝術の練習と思い、受けだけに徹していた。
後は観客を飽きさせないようにところどころ攻めて、見せ場を作っていた。数年前、受けだけに集中しすぎて大会を崩壊させてしまったことがあるので、そうさせないための苦肉の策だ。
「ぶっ倒れろよぉ! ガキィ!!」
「……」
冷めた目で槍を避けて
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