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鋼殻のレギオス 三人目の赤ん坊になりま……ゑ?
第一章 グレンダン編
シキという武芸者
シキ・マーフェス【リメイク】
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『そういえば今日は武芸大会ですが大丈夫ですか?』
「大丈夫、というか毎朝見てるじゃんデルボネのばーちゃんは」
『まぁ、そうですね。これで負けたなどと言ったら貴方のお師匠たちにドヤされてしまいますしね』

 デルボネの言葉に少年は顔を青くする。
 少年が師事している人物たちはそんじょそこらの厳しさではないのだ。万が一でも有象無象の武芸者にでも負けたら洒落にならないことは確定している。
 もっとも少年は負ける気はサラサラなかった、というよりも負けられないのだ。

「負けないよ、俺は。ガキ共を食わせて行かなきゃならない……」
『……無理はしないように』

 先程までのほんわかした雰囲気が一変し、鬼気迫る雰囲気に変わる。

「それにレイフォンに負けてられない」
『ふふっ、男の子ですね』

 だがそんな雰囲気をすぐに四散する。
 デルボネもなるべく深くは突っ込まずその後は当り障りのない会話を続ける。
 
「そろそろいいかな」

 さらに二周ほど走った少年は、最初に立った外縁部に立ち止まると今まで棒きれのように扱っていた刀をきちんとした構え方で持つ。

「シッ!!」

 風を切るように素早く上から下に振り、そのまま刃を返し下から上に振り上げる。
 徐々に剄を込め、腕の力を込めていく。
 一心不乱に振っていくうちに少年は一本の刀と同化していく。最早、風どころか空気を切り裂く勢いで振っていた少年は丁度、百回目の振り下ろしで刀を止める。
 そして刀を腰だめに構え、左手で刀身を持ち、右手は柄を握り締める。
 限界ギリギリまで剄を練り込み、制御を誤った剄が衝剄として打ち出され、岩場に直撃する。運が悪いことに砕けた岩が少年に向かって飛んで来る。

「……丁度いいな」

 そのまま少年は踏み込み、岩に向かって刀を振るう。
 サイハーデン刀争術、焔切り。
 直後、炎を纏った刀身が岩を両断した。

「ふぅ」

 少年はすぐに刀を待機状態に戻す。
 よく見れば黒かった錬金鋼が先ほど繰り出した焔切りの色のように赤く染まっていた。
 本来ならばこんな現象は起きることはない。稀に膨大な剄を持つ者が、剄のコントロールをしきれず、錬金鋼の処理を超えた剄を送ってしまうことが起きる。一種のオーバーヒートのような現象だ。
これができるということは、少年は膨大な剄を持っている証拠である。

『朝から良い物を見せてもらいましたよ、シキ』
「んにゃ、こんなの父さんに比べたらまだま――――」

 その時、遠くから鐘の音が聞こえる。朝を知らせる鐘の音だ。
 いつの間にか朝日が都市と少年、シキ・マーフェスを照らし出していた。

「それじゃ、そろそろ朝食だから帰るよ」
『ええ、ではまた』

 その言葉を最後に端子
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