暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第193話:愛と涙を宝石に
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 仲間の装者達がワイズマンや他の魔法使い達と激闘を繰り広げている頃、奏は変異が進み半ば暴走しているといっても過言ではない状態の颯人を必死に宥めようとしていた。

「颯人ッ! 颯人しっかりしろッ!」
「グゥゥゥゥゥッ! ガァァァァァッ!」
「颯人さんッ!?」

 奏と響の2人が賢明に声を掛け続けるが、彼は異形と化した腕を振り回し近くにある物を無作為に破壊している。ただその暴力が奏達に直接向いていないのは、まだ彼の中に残っている明星 颯人としての意識が必死に自分を抑え込もうとしている証拠なのだろう。事実、まだ人間的な部分を残している上半身左半分の腕は暴れる右腕を押さえようとしている。彼自身も己の体が今にも弾けそうになっているのを、必死に堪え自分自身と戦っているのだ。

 彼1人に孤独な戦いをさせる訳にはいかない。奏は危険を承知で更に颯人に近付き、彼に直接声を届けようとした。

 そんな彼女に襲い掛かる新たな異形の姿。レギオンファントムが奏と響に襲い掛かった。

「ハァッ!」
「ッ!? チッ、コイツッ!」

 振り下ろされるハルメギドを奏が槍で防ぐ。薙刀で押さえ込まれ、力技で地面に押し付けられる彼女にレギオンファントムは鼻先が触れ合う程にまで顔を近付けてきた。

「もう諦めろ。あの男はもうお終いだ」
「何をッ!」
「だから代わりにお前の心を壊す。まずはそこで、あの男が人でなくなる瞬間をじっくり見ておけ。その後、お前の心を完全に壊してやる」
「ふざ、けるなぁッ!?」

 好き勝手な事を宣うレギオンファントムに、奏が激昂し槍を押し返す。ギアを纏っても尚圧倒的に力の差があるファントムを押し返すだけの力を見せつけた奏だったが、しかし彼女に出来た抵抗はそこまでであった。

「フンッ!」
「グッ!?」

 レギオンファントムは更に強い力を加え、一度は持ち上がりかけた奏の腰を再び落とさせる。今の彼女は殆ど膝で体を支えている状態で、その姿はまるでレギオンファントムを相手に跪いている様であった。

 その奏の危機に、響が助太刀する。彼女は奏を抑え込むのに全力を出しているレギオンファントムに対し背後から殴り掛かった。

「奏さんから離れろッ!」
「むっ!?」

 予想以上に重い拳が何発も背中に突き刺さり、レギオンファントムの奏を抑え込む力が緩んだ。その瞬間奏は一瞬全力でレギオンファントムを押し返し、僅かに開いた隙間から転がり出るようにしてレギオンファントムの拘束から逃れることに成功した。

「くっ、やっと抜け出せた……」
「大丈夫ですかッ!」
「あぁ、助かったよ。しかし……このままじゃ」

 こうしている間にも颯人の変異は進んでいた。異形化は残りの上半身にまで及び、残っているのは左腕と顔の左半分である。そ
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