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おぢばにおかえり
第七十九話 残さないことその十八

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「ただそれだけです」
「そうなの?」
「はい、それだけなので」
 好きなだけだからというのです。
「凄くないです」
「そうなの」
「僕の叔父なんか本好きですが」
「あの新一君が嫌いな人?」
「そうです、本が好きでよく読んでいても」
 それでもというのです。
「何もない人ですよ」
「だからそう言うの」
「ちょっと知ってるからって威張ってて」
 それでというのです。
「何もない、人間として全く駄目ですから」
「本が好きでもなの」
「何でもないですよ」
 真顔で言いました。
「大事なのは人間としてどうかですよね」
「その通りだけれどね」
 新一君の今の言葉に驚いて言いました。
「新一君そんな考えなのね」
「駄目ですか?」
「駄目じゃなくて」
 新一君にあらためて言いました。
「大人な考えね」
「大人ですか」
「読書じゃなくて現実での経験ね」
「両方必要ですよね」
「それが凄いわ」
 まだ高校生なのにそう考えられることがです。
「しっかりしてるわね」
「というか叔父が反面教師ですから」
 それでというのです。
「そうした考えになりました」
「その人のお母さんもよね」 
 新一君から見ればお祖母さんですが新一君はこの人も嫌いなのでこう言いました。
「新一君にとって反面教師ね」
「はい」
 その通りとです、やっぱりこう答えました。
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