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博士の挑戦状
第百二十一話

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              第百二十一話  カーミラも知っていた
 小田切君が麦茶を美味しいと思いながら飲んでいた時カーミラもまたよく冷えた麦茶を飲んでいた。
 そしてだ、それを出してくれた使い魔達に言った。
「不思議と美味しく感じるわね」
「麦茶はですね」
「美味しく感じられますね」
「左様ですね」
「ええ、けれどね」
 それでもと飲みながら言うのだった。
「この味はね」
「代用コーヒーですね」
「カーミラ様も飲まれたことがある」
「そちらですね」
「あれを美味しいと思ったことはなかったわ」
 代用コーヒーをというのだ。
「一度もね」
「左様ですね」
「事実評判が悪いですね」
「コーヒーと違って」
「美味しくないと」
「けれど」 
 代用コーヒーについてそう感じるがというのだ。
「それがね」
「麦茶ならですね」
「美味しいですね」
「そう感じられますね」
「同じ味なのに」
 そうであるのにというのだ。
「よく冷えているからかしら」
「そうであるとですね」
「代用コーヒーも美味しい」
「そう感じられますね」
「そうかしら。それなら」
 カーミラは自身の使い魔達に考える顔でさらに話した。
「これから代用コーヒーを飲むなら」
「その時はですね」
「よく冷やして」
「そうして飲まれますね」
「そうしてみるわ」
 こう言うのだった。
「試しにね」
「そうですか、それでは」
「その様にしてみましょう」
「代用コーヒーを飲む機会があれば」
「その時は」
「そうしましょう、ただそうなると」
 カーミラはこうも言った。
「逆に麦茶を温めると」
「まさに代用コーヒー」
「ホットの」
「それになりますね」
「そうだと美味しくないでしょうね」 
 熱い麦茶はとだ、こう話して今は冷えた麦茶を飲むのだった。その味は実に美味いと感じるものだった。


第百二十一話   完


                   2023・12・10
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