第一章
[2]次話
ゴリラは誰よりも優しい
チャンネル諸島ジャージー島にジャージー動物園がある、そこに一頭のゴリラの銅像があるがその銅像を見てだ。
観光客のスコット=ホイット額が狭く太い眉に黒目がちの目を持つアフリカ系の大男普段はタクシーの運転手をしている彼は言った。
「キングコングみたいだな」
「映画のですね」
「ああ、けれど銅像になるっていうと」
ホイットは動物園の職員に言った。
「何かいいことしたんだな」
「説明文の通りです」
「へえ、人を助けたのか」
ホイットはその説明文を見て目を丸くさせた。
「ゴリラのコーナーに落ちた子供をか」
「はい、レヴァン=ミリットさんといいまして」
職員はホイットに話した。
「今は結婚されてお子さんも三人おられますが」
「その人がか」
「お子さんの時にです」
その時にというのだ。
「ゴリラのコーナーに落ちまして」
「ゴリラのか、けれどな」
ホイットはそう聞いてこう言った。
「ゴリラってのは実は大人しくて優しいからな」
「ご存知ですか」
「聞いてるよ、絶対に暴力は振るわないってな」
「物凄く平和な生きものです」
「だったら大丈夫だな」
「はい、それでです」
職員は銅像を見つつホイットに話した。
「このゴリラ、ジャンビという雄でしたが」
「その人に何もしなかったんだな」
「ずっと見守っていました」
自分達のところに落ちた子供をというのだ。
「気絶していたんですが」
「何もしないでか」
「そうしていました」
そうだったというのだ。
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