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ソードアート・オンライン もう一人の主人公の物語
■■SAO編 主人公:マルバ■■
四人で紡ぐ物語◆ヒースクリフの謎
第三十二話 総当り戦
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べきだろう。

 ヒースクリフはマルバの装備を見つめた。
 なんの変哲もない短剣と、明らかに何かが違う円月輪(チャクラム)
 あの円月輪は普通の円月輪ではないはずだ、とヒースクリフは推測した。
 おそらく、複属性武器。
 彼は円月輪に特に注意を払うことを決めた。

 最初に動いたのはヒースクリフだった。
 十字剣を地面と平行に構え、すっと打ち出す。
 マルバはそれを籠手で上へと弾いたが、続く盾の追撃にバックステップを踏む。
 ヒースクリフは更に追撃を重ねた。
 マルバはステップで回避しつづけるが、そんなことがいつまでも続くわけがない。
 マルバは再び剣をパリィすると、大きく跳躍してヒースクリフの背後に降り立った。
 すぐに攻撃に転じるが、そこはさすがの反応ですでに盾を構え直しているヒースクリフ。

 マルバは攻撃をどこに打ち込むべきか迷った。
 とりあえず左右に揺さぶりをかけてみよう、そう決めて短剣を握り直す。
 左からの一撃、素早い『スライスエッジ』。
 盾が左に振られるが、それを見越してマルバは相手の右腰目掛けて『円月斬』を同時に放っておいた。
 弧を描いて飛ぶチャクラムはヒースクリフの脇腹を捉えていたが、ヒースクリフはそれを剣で叩き落とした。
 しかし、マルバの狙いは、ヒースクリフに右側を確認させることだけにあった。
 マルバの短剣が光を帯びる。
 ヒースクリフがマルバから視線を外した一瞬の隙を突いて、最速の『アーク』が放たれる。
 それは確かにヒースクリフの脚を貫き、そこに突き刺さった。
 わずかに慌てるヒースクリフ。
 一旦距離を取ってから刺さった剣を抜こうと考えたのだろう、大きくバックステップを踏もうとした。

 マルバの狙いは突き刺さった短剣による貫通属性ダメージである。
 決して抜かせるものかと、マルバは強烈なラッシュを開始した。
 連続技に連続技を重ね、防御より攻撃を優先し、相手の動きに追いすがる。
 いくつかの重攻撃が大盾を『抜け』、ヒースクリフのHPは着実に減っていった。
 HPが減るにつれ、なぜかヒースクリフの顔に焦りが浮かんできた。

 焦り……?
 何に対する?

 マルバの頭に疑問が走る。
 集中が途切れ、連続技が空を切った。
 追撃を恐れ、慌てて距離を取るマルバ。
 その隙にヒースクリフは脚から短剣を抜き払った。

 両者とも、ここで一旦攻撃を中止する。
 マルバのHPは残り6割程度。
 それに対し、ヒースクリフは貫通属性ダメージを相当受けたらしく、残りは5割強だ。

 次に攻撃を仕掛けたのはマルバだった。
 円月輪を振りかぶると、『オリジナルソードスキル』を放つ。
 その名も――『流星乱舞(ルセイランブ)』。

 円月輪
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