結梨
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ルトはラビットハウス店内を見渡す。
「思っていたよりも人数多いな」
夕食時だということもあり、家族連れやカップルが複数組いる。それぞれ笑顔溢れる食卓を囲み、ハルトにとっては眩しく、また居心地が悪く感じてしまう。
そんな家族連れが多い中、ハルトにとって見覚えのある客の姿もある。
「おっ! ハルトにコウスケ! それにえりかちゃん!」
「こっちこっちッ!」
「一緒に食べよ!」
真司、響、友奈の三人。
テーブル席で、真司のみが向かい席に座っていたが、ハルトたちの姿を見て、友奈の隣に移動する。それに伴い、響と友奈が壁へ詰めた。
「……俺たちあそこの座席だね」
「だな。響の奴、ここでメシのつもりだったのか」
「あ、でも四人座れるかな?」
可奈美が首を傾げた。
コウスケが先に真司たちの向かい席に着き、壁際まで詰める。
続いて、えりかが腰を掛けた。
「結梨ちゃん、こっち」
「うん!」
えりかが膝の上を叩くと、その上に結梨がこちょんと乗った。
「「おおーっ!」」
響と友奈が、同時に興味ありげに結梨を見つめる。
「か……」
「可愛いが過ぎる……ッ!」
友奈、響がそれぞれ評する。
結果的に一番通路側が開いたので、座席問題が解決したところで、ハルトは可奈美へ尋ねた。
「手伝おうか? 少なくとも結梨ちゃんが注文するのは俺が作るよ?」
「平気平気! 私に、ココアちゃんに、チノちゃん、あとチノちゃんのお父さんも厨房にいるから」
可奈美はそう言って、えりかの膝上の結梨へ話しかけた。
「私、衛藤可奈美! よろしくね!」
「初めまして。結梨です」
結梨はペコリとお辞儀をする。礼儀正しい彼女へ、可奈美はにっこりとほほ笑む。
「うん! うん! 後でゆっくりお話ししようね!」
可奈美はそう言って、厨房へ戻っていく。
彼女を見送り、ハルトは落ち着いて通路側の席に腰を下ろした。
同時に、真司が手を上げた。
「よっ! お疲れ。今日、例のバイトだったんだってな?」
例のバイト。
間違いなく、見滝原大学にて教授の手伝いとして駆り出されていることだろう。
「そうだよ。書類整理とか雑用とか色々大変だったよ」
「でもよかったじゃん。結構協力的なマスターだったんだろ?」
真司がえりかを見ながら言った。
響、友奈と談笑を繰り返す彼女は、とても敵意があるとは思えない。時折彼女は膝元の結梨の頭を撫で、その都度結梨はえりかへ体を寄せている。
一方、隣のテーブルを片付けているチノは、じっと結梨に夢中になっている響をジト目で見つめていた。
「響さん……ちょっとは私のことを見てくれてもいいのに……」
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