第二章
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「私も見えないです」
「私もです」
「そんな子いないですよ」
「着物を着た子が鉄棒ですか」
「していないですよ」
「そうよね。どういうことかしら」
園田は首を傾げさせた、だが。
その話を聞いた近所のお爺さんが彼女にこう言った。
「それ座敷童だよ」
「あの妖怪の」
「ああ、子供は見えるんだよな」
「はい、皆」
園田はお爺さんにその通りだと答えた。
「そう言っています」
「それであんた達は見えないんだな」
「数えると一人多いですが」
それでもというのだ。
「どうしてもです」
「いないんだな」
「はい、それに」
お爺さんにさらに話した。
「保護者の方々も」
「皆大人だな」
「大人は見えない、そういえば」
ここで園田もはっとなって言った。
「座敷童は」
「大人には見えないだろ」
「そうですね」
「勿論わしにも見えないさ」
お爺さんは自分もと言った。
「その子が前にいてもな、けれどな」
「子供達が見えるということは」
「間違いないな
「座敷童ですか」
「その子がいてな」
そうしてというのだ。
「そのうえでな」
「数えるとどうしても一人多くて」
「大人には見えなくてな」
「子供にはいるんですね」
「そうだよ」
まさにというのだ。
「間違いないな」
「保育園に座敷童ですか」
「いるのは家だけじゃないんだよ」
老人は笑って話した。
「学校にいるって話もあるしな」
「それで保育園にもですか」
「いるってことだな、ただな」
お爺さんは園田にこうも話した。
「いて悪い妖怪じゃないからな」
「幸運を招くといいますね」
「だからな」
そうした妖怪だからだというのだ。
「心配しなくていいさ」
「安心してですね」
「ああ、そしてな」
そのうえでというのだ。
「安心してな」
「このままいていいですね」
「子供達と好きなだけな」
「遊ばせていいですか」
「ああ」
そうだというのだ。
「いい妖怪だからな」
「いい妖怪ですね、そういえば」
園田も言われて頷いた。
「妖怪も色々で」
「いい妖怪も多いだろ」
「むしろそうした妖怪の方が多いですね」
「それで座敷童もな」
「幸運をもたらしてくれて」
「子供と一緒に遊ぶな」
そうしたことをするというのだ。
「いい妖怪だからな」
「このままですね」
「ああ、何もしないでいいさ」
「それでは」
園田は笑顔で頷いた、そうして保育園の先生や保護者達に事情を話した。大人達はそうしたことかと頷いてだった。
以後数えて一人多かったり子供達が自分達には見えない子供と遊んでいる話を聞いても笑顔になった、そのうえで。
彼等を温かい笑顔で見守った、とある幼稚園での話である。
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