第3部
第3部 閑話@
とりとめのない話・ユウリの名前
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それは、ムオルでユウリがお父さんから兜をもらったあとのこと。
「そういえばさ、ユウリの名前って、初めて文字で見たけど珍しい書き方だったね」
「あー、あたしも気になったー。まあ別に、世の中には自分の子供の名前にインパクトを与えたいって親も割といるから、特に珍しいってわけでもないけど」
「そんなこと言ったらオレだって珍しいけどな」
「あ、それ、ルザミに行ったときフィオナさんから聞いたんだけど、ナギの名前って、ジパングの気象用語から来てるみたいだよ」
「そーいや言ってたねぇ」
「何でお前らがオレの名前の由来知ってんだよ!?」
「だからフィオナさんが教えてくれたんだってば。フィオナさんのお父さんが気象学が好きで、その影響でフィオナさんも世界各地のいろんな言葉を覚えたんだって。その中で一番気に入った単語をナギの名前に選んだみたいだよ」
「ええ……。なんだよそれ。なんで息子のオレが知らないんだよ」
「あたしたちとフィオナさんが一緒に寝てたときだから知らなくて当然じゃん。そんときナギちん下で寝てたんだから」
「けっ、まあ良いけどよ。そういやミオもジパングの言葉からなんだよな。何だかんだでオレたち共通点多いよな」
「えー、そんな言うほどなくない?」
「お前、その返し酷くねえ? なんかめっちゃ傷ついたわ」
「それより今はユウリちゃんの話でしょ! 見てよほら! ユウリちゃんいじけちゃって、ひたすらベーコン食べてるじゃん!」
「別にいじけてるわけじゃないが」
「あっ、ごめんユウリ!! そもそもユウリって名前、誰がつけたの?」
「……親父だ」
『オルテガさん!?』
「おふくろの話だと、俺が生まれた直後、親父は戦士の修行から帰ってきたばかりで、色々と慌ててたらしい」
「うんうん」
「俺に名前をつけるとき、最初はジジイがつけようとしたんだが、親父が止めた。そのとき羊皮紙に書いて命名したんだが、あまりにも慌ててて、本来『ユーリ』と書くはずなのに間違えて『ユウリ』と書いてしまった」
『え……』
「ジジイの前で書いてしまった手前、引っ込みがつかなくなった親父は、そのまま城に届け出をして決まったそうだ」
「な、なんか想像以上に不憫だった……」
「ユウリちゃん、勇者としての運命じゃなく、名前でも過酷な運命を背負って生きてきたんだね」
「悪い……。悲しすぎて、からかう気も起きねえわ……」
「別に名前の響きは同じだし、俺は気にしてないけどな」
「そうだったんだね……。ところで、ユウリのおじいちゃんは何て名前をつけようとしたの?」
「『トンヌラ』だ」
「え……」
「ユウリちゃん……、お父さんが修行から帰ってて良かったね
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