第二章
14.静寂の塔
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んな感じという報告はなかったからのお」
「……その話、知りませんでした。なぜグレムリンさんたちを?」
先頭を歩くシェーラが「なんで悪魔神官の部下だったお前が知らないんだよ」と振り返らずに突っ込む。
「人間の老人に化けさせて、やってくると言われていたロトの子孫たちを待ち伏せする予定だったのじゃ」
「なるほど」
「じゃが、あるときを境に連絡は途絶えてしもうた。きっとやられてしまったのじゃろうな」
「……」
その後も、何者にも会うことはなく、何に襲われるということもなく。
距離的には長い踏破だったが、あれよあれよという間に最終盤を迎えた。
「この上が最上階かの?」
「たぶんそろそろ一番上な感じだよな」
上にのびている階段から吹いてくる、明らかに今までと違う風。
それを受けながら、三人はゆっくりと上がった。
「……」
まぶしさに、三人の目が細まる。
そこは、今までとはまったく違う、開かれた空間だった。
天井はあるが壁はない。等間隔の太い石柱の間からは外――空が見えていた。
中央には、やはり等間隔の柱に囲まれた、毎日火が焚かれているのであろう大きな台がある。
兵士は? と、すぐに三人の目が目的の人物を探し始めようとしたときだった。
「誰だ」
三人が確認するよりも早く、言葉が飛んできた。
その声は異様だった。高くも低くもなく、大きくも小さくもない。なぜか耳だけでなく頭の中にも直接響いてくるようでもあり、音は明らかにこもっているのに、はっきりとした滑舌であるように感じた。
見ると、大きな台の陰から、くすんだ銀色の鎧に全身を覆われた剣士が現れた。
頭部から脚に至るまで露出がなかった。声の異様さもあり、中の人物を推し量ることがまったくできない。
その手に握られた重厚な剣も、誇示するつもりもないように剣先が下がっていた。
「あ、あの。あなたがここの――」
「魔物か」
その剣士は、フォルの声を打ち消すような言葉と金属音を発し、近づいてきた。
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