第二章
[8]前話
「前足の辺りにまであるね」
「そうね」
志保も言った。
「このライオンは」
「珍しいね」
「そうよね」
「ええと、別のコーナーになってるけれど」
正幸はそのライオンを見てさらに言った。
「このライオンは」
「どんなライオンかしら」
「ええと」
正幸はそのライオンの説明を見た、そこに名前もあったが。
「バーバリーライオンって」
「知ってるの」
「いや、このライオン確か」
妻に驚いた顔で言った。
「絶滅したんじゃ」
「そうなの」
「うん、その筈だよ」
驚いた顔のまま言った、そしてだった。
動物園の人に聞くとだ、こう言われた。
「実は絶滅していなかったんです」
「バーバリーライオンはですか」
「はい」
そうだというのだ。
「とある王家が飼育していまして」
「そうだったんですか」
「絶滅したと思われていたのが」
それがというのだ。
「生き残っていまして数もです」
「増やされていてですか」
「こちらの動物園にもです」
「来たんですね」
「はい」
そうだというのだ。
「この様に」
「そうですか、いや驚きました」
実際に正幸は動物園の人にそうした顔を見せていた、そのうえで言うのだった。
「バーバリーライオンが生きていて」
「この動物園にいてですか」
「この目で観られて」
「それは何よりです、それではです」
動物園の人はにこりと笑って話した。
「満足されるまでです」
「バーバリーライオンを観ていいですね」
「はい、そうして下さい」
「わかりました」
笑顔でだった、正幸は動物園の人の言葉に頷いてだった。
妻と子供達と一緒にバーバリーライオンを観た、そうして子供達にこのライオンのことを説明した。説明するその顔はまるで子供の様に純粋で明るいものだった。
珍しいライオンと思ったら 完
2024・2・22
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