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金木犀の許嫁
第五話 引っ越しの時その九

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「こうした話は言わなくても」
「皆知ってくのね」
「隠しても」
「やっぱり同じお家で暮らしていたら」
「出入りも通学論も同じになるし」
 佐京はさらに話した。
「動く時間も同じになっていくから」
「皆まさかって思って」
「そのまさかから」
 さらにというのだ。
「考えていって真相に行き着くから」
「わかるのね」
「そう、だから」
 それでというのだ。
「今はまだでも」
「やがては」
「嫌かな」
「嫌かっていうと」
 自分に言う佐京を見てだ、夜空は答えた。
「別にね」
「ないんだ」
「事実だから」
 許嫁同士になったことはというのだ。
「それで困らないし。彼氏が出来たってことだし」
「それを言ったら俺も彼女が出来たんだ」
「お互いにね。別にそれが隠す相手じゃないなら」
 それならというのだ。
「もうね」
「隠さないで」
「普通にしていればいいわね」
「そう、だから」
 それでというのだ。
「今は誰も知らないけれどそのうち皆が知るけれど」
「隠すことじゃないし」
「隠さないでいいことは隠さない」
 佐京は言った。
「それでいいから」
「それでいいのね」
「そう。忍者も隠れなくていいなら隠れない」
「いつもそうはしないのね」
「逃げなくていい時は逃げないし」
 忍者のもう一つの行うことであるそれもしないというのだ、佐京は夜空に対して淡々と話すのだった。
「隠れなくていい時は隠れなくて」
「そうなのね」
「だから隠さなくていいなら」
 それならというのだ。
「隠さない」
「そうするのね」
「ちなみに下着は隠すから」
 これはというのだ。
「トランクスは」
「下着はなの」
「一緒に住むなら」
「お洗濯もするし」
「下着も見るけれど」
「下着姿じゃなくても」
「俺は見ないから」
 夜空の下着はというのだ。
「お姉さんも」
「いや、見るでしょ」
 それはとだ、夜空は佐京にこう返した。
「下着は」
「一緒に住んでいたら」
「だってお洗濯して」
 そうしてというのだ。
「干すから」
「だから」
「絶対に見るから。それに着けてないなら」
 即ち下着姿をというのだ。
「見られてもね」
「いいんだ」
「そうでしょ」
「そう言われたら」
「そういうことでね、お部屋に入る時はね」 
 佐京に左手の人差し指を立てて話した、彼が自分から見て左手にいるのでそれでそちらの手を出したのだ。
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